「第2の脳」と呼ばれるほど神経細胞が集中する腸。その腸が弱ると、免疫機能が低下してさまざまな病気を引き起こしかねない。そして腸の健康を脅かす最大のトラブルは「便秘」だ。たかが便秘といえども、全身に不調をもたらす恐れがあるのだ。
もっと恐ろしいのは「大腸がん」だ。2011年の大腸がんによる死亡数は国内で約4万5千人。50年前の約9倍になっている。がんの種類別にみると、男性では肺がん・胃がんに次ぐ3位、女性では1位になっている(独立行政法人国立がん研究センターがん情報サービスから)。
「大腸がんの原因は特定されていませんが、がんの70%が直腸とS状結腸にできているのは注目すべき点です。大腸の出口付近、便がたまりやすい部分に集中しているところをみると、便秘ががんのリスクとなっている可能性は十分考えられます」(松生[まついけ]クリニック院長・松生恒夫氏)
便秘を解消するためには、大腸のせん動運動を活発化させることが必要だ。腸は「第2の脳」と呼ばれるほど多くの神経細胞を有し、脳の命令なしに自らぜん動運動をすることで便を排出する。
そのぜん動運動を停滞させないためには、適度な運動をすること。そして「腸を冷やさないこと」が重要だと松生氏は指摘する。
「屋外と屋内の気温差が10度以上になると、たとえ真夏でも腸が冷えます。腸が冷えると、おなかまわりの血流が滞って腸の動きが鈍くなります。季節に関わらず、腹巻きをするなどしておなかを温めることが大切です」
※週刊朝日 2013年10月4日号