子宮頸がん予防ワクチンを巡るニュースや、米女優のアンジェリーナ・ジョリーが乳がんを予防するために乳房切除を決断したことなど、最近、女性のがんが何かと話題だ。中でも乳がんには現在いくつかの検査方法があるが、特に日本人女性には超音波を用いる検査が有効だという。

 現在、自治体の乳がん検診で推奨されているのが、医師による視触診とマンモグラフィー(乳房専用のX線検査)だ。マンモグラフィーは「石灰化」と呼ばれる小さな病変や、乳腺が変性する「ひきつれ」の発見に適しており、50歳以上の乳がん検診には「有効」というデータもある。一方で、超音波検査では明確に有効性を示すデータはまだなく、現在、臨床試験が進んでいるところだ。

 超音波検査とマンモグラフィーでは、「しこり」の見つけやすさに違いが出ると順天堂大学順天堂医院乳腺科教授の齊藤光江医師は言う。

「すべての乳がんで石灰化やひきつれがあるとは限りません。『しこり』に関して言えば、マンモグラフィーは乳腺もしこりも同じように白く写るので、乳腺の密度が高いと、判別できない場合があります。それに対し、超音波は、悪性のしこりは黒く、乳腺は白く写るのでしこりが検出しやすい。日本人女性は乳房が小ぶりで、乳腺の密度も高いという特徴があるので、超音波検査がやりやすく、理論上、しこりの検出能力が高いといえます」

 ただ、超音波検査には問題もあるという。

「乳房の全体像を写し出すマンモグラフィーと違って、超音波検査は塗り絵を少しずつ塗りつぶすような検査。塗っていない箇所、つまりチェックしていないところがないようにすることが重要です。また、技術に差があり、誰がやっても同じようにしこりを検出できるとは限りません」(齊藤医師)

 こうした現状を踏まえ、齊藤医師が提案するのは、50歳以上は「マンモ+視触診」、40歳未満は「視触診+超音波」、そして乳がんにかかる率が最も高い40代は、「マンモ+視触診+超音波」の3点セットを受けるという方法だ。

「自治体の乳がん検診を実施する施設で、超音波検査ができるところは少ない。自分自身の年齢やリスクと照らし合わせ、必要があれば超音波検査が受けられる個人検診の人間ドックを受けるとよいでしょう」(同)

週刊朝日 2013年9月20日号

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