頭皮チェックをする女性も多い (c)朝日新聞社 @@写禁
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「生え際が気になる」「抜け毛が多くなった」「ボリュームが減った」と、頭髪の悩みを訴える女性が増えている。いま、女性たちの髪に何が起きているのか。

 薄毛を診察している医師も、女性患者の増加を感じている。桑名皮フ科院長の桑名隆一郎医師は言う。

「女性の頭皮を20年以上診てきましたが、薄毛を訴える女性は増えてきています。約20年前は男性患者のほうが多かったのですが、今は女性のほうがわずかですが多いくらいです」。桑名医師のところへ訪れる女性患者の年齢層は、60歳以上が38%、50代26%、40代14%、30代14%、30歳未満7%。やはり50~60代が多いという。

『女性ホルモン 美バランスの秘訣』(大泉書店)の著書がある婦人科医で、成城松村クリニック院長の松村桂子医師もこう話す。

「うちのクリニックに来る患者さんでも、薄毛を気にする女性が増えました。人知れず悩んでいただけだった人が多かったのが、表面化したという印象です。かつては『ただの老化』だとあきらめていたのに、いまは『なんとかなるのなら治したい』と思って来られる女性が多いのです」

 この薄毛の原因について、桑名医師はこう話す。「男性と女性では原因が異なります。男性は男性ホルモンが原因で、女性は女性ホルモンが減ったり、うまく働かないことが原因です。女性ホルモンは髪の成長にかかわっているので、更年期や老化によって女性ホルモンの働きが悪くなると、髪の育ちも悪くなりがちです」。

 薄毛の症状も男女で異なる。男性が前頭部や頭頂部から薄くなっていき、ごっそりなくなることもあるのに対し、女性の薄毛は、全体的に頭髪が薄くなるのが特徴だ。これらの症状は、更年期を迎えて、女性ホルモンが減り、老化が重なってくる中高年世代であれば、ある程度はしかたのない症状だという。

 だが、更年期より前の20~40代前半でも薄毛に悩む女性が増えているというのは、前出の松村医師だ。

「更年期にさしかかる前の40代より若い世代で、薄毛に悩む女性も増えています。女性の社会進出が進んだことで、ストレスや不規則な生活、偏った食生活によって、女性ホルモンのバランスが崩れるからです」

 都内の中小企業に勤める43歳の女性は、40歳になったころから髪が薄くなったと感じ、ひそかに育毛剤を買うようになったという。「仕事のストレスもありますし、忙しくてついつい生活は不規則になりがち。40歳になったころから、分け目の広さが気になるようになって、髪が細くなった気もします」。

 ホルモンバランスが崩れることの怖さを松村医師は次のように語る。「頭髪が薄くなる一方、体毛は濃くなり“おやじ臭”の出る人もいますね。中年男性のようになります。要は“オス化”するのです」。

 女性でも、もともと男性ホルモンと女性ホルモンの両方を分泌しているが、男性ホルモンの量が変わらないのに女性ホルモンが減ると、必然的に男性ホルモン優位になり“オス化”する。そうした女性たちが薄毛に悩むことが多いというのだ。

週刊朝日  2013年7月19日号

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