教育現場でのリスク管理は、今や避けて通れない問題らしい。自分の身は自分で守るしかないのか。今、保護者などからの訴訟を想定した「損害保険」が教師の間で注目されている。
損害保険は地域ごとに、教職員組合や財団法人が募集をかけていて、学校単位や個人単位で加入する。たとえば東京都だと、都教組が日本興亜損保と提携して募集する「教職員賠償責任保険」や、都人材支援事業団(旧・都福利厚生事業団)が東京海上日動火災と連携し、公務員向けに取り扱う「訴訟費用保険」などがある。
これら「損害保険」の補償内容はおおよそ共通していて、訴訟を起こされた場合の弁護士費用や、訴訟で敗訴した場合の損害賠償金などを補填する。子どもが学校でケガをしたり、個人情報を流出させてしまったりして、保護者から損害賠償を求められるケースが主な「保険適用例」とされる。
教師からのニーズは高いようだ。2000年にスタートした都人材支援事業団の「訴訟費用保険」は、月額500円の掛け金で、最大8千万円(一訴訟・一請求につき)が支払われる。教職員の加入者数は、00年度の約1300人から、12年度には約3万800人まで急激に拡大。都内の公立学校の全教職員数は約7万400人なので、4割以上が加入していることになる。
※週刊朝日 2012年11月23日号