松江市の飲食店従業員、柏木佐知子さん(26)が9月27日未明に行方不明になってから1カ月以上が過ぎた。島根県警は10月6日から公開捜査に踏み切ったが、決め手となる手がかりはないようだ。
「県警は『3年前の浜田の事件のようになるといけん』と、失踪時に柏木さんが乗っていた車の行方をやっきになって追っている」(社会部記者)
県警が恐れる「浜田の事件」とは、2009年に発生した島根女子大生遺棄事件のことだ。同年11月、浜田市内にあるショッピングセンターでアルバイトをしていた県立大学1年生の平岡都さん(当時19)の遺体が、県境の広島県内の山中でバラバラに切断された状態で発見された。目撃情報や遺留品が乏しく、捜査は行き詰まったまま。だが、ここにきて地元では、この二つの事件が「同一犯による犯行」ではないかと囁かれているのだ。
実は、柏木さんが行方不明になった翌28日夜、松江市内で別の“拉致未遂”事件が起きていた。
「現場は、柏木さんの自宅から数百メートルの場所。塾に向かう女子中学生に、車に乗った男が『広島から来たけど、松江駅を教えてほしい』と声をかけたというのです。30代ぐらいで、メガネをかけた細身の男だったそうです。この男と事件との関連は不明ですが、年ごろの娘を持つ親は『広島から来たという発言が、浜田の事件を思い起こさせて気持ち悪い』と顔をしかめています」(捜査関係者)
女子中学生が道順を教えると、男は「助手席に乗って、カーナビで教えてよ」と誘い込もうとしたという。女子中学生はそのまま逃げ、翌日、学校に届け出た。その証言によると、男の車は「白いミニバン」。くしくも、柏木さんの車も白のトヨタ「bB」だった。
※週刊朝日 2012年11月16日号