小林照子(こばやし・てるこ)/美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)ほか著書多数(撮影/写真部・片山菜緒子)
小林照子(こばやし・てるこ)/美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)ほか著書多数(撮影/写真部・片山菜緒子)
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※写真はイメージです(Gettyimages)
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 人生はみずからの手で切りひらける。そして、つらいことは手放せる。美容部員からコーセー初の女性取締役に抜擢され、85歳の現在も現役経営者として活躍し続ける伝説のヘア&メイクアップアーティスト・小林照子さんの著書『人生は、「手」で変わる』からの本連載。今回は、壁にぶち当たって前に進めず苦しんでいる人に贈ります。

*  *  *

「自分の希望とはかけ離れた部署に異動になった」
「いまの上司とはまったく合わないから困った」
子育てとの両立が厳しくて」

 会社勤めをしていると、本当にさまざまなことがあるものです。

 でも目の前の問題を乗り越えていくということが、あとから考えれば一番自分を成長させてくれた。そんなことも多いものです。

 かつて私にもたくさんの後輩がいましたけれど、辞めていくひとたちを見るたびに思ったのは、「あと、ひと呼吸置いてから、最終決定すればいいのに」ということです。

「もう、いやだ」「つまらない」「しんどい」

 皆いろいろな思いがあると思います。

 でもそこで「辞める」という選択肢に一直線になっているときというのは、やはり冷静な判断がくだせる状態ではないのです。

 私の経験からお話しするならば、そういうとき、だいたい話は「上司の対応の悪さ」などにすり替わっていきます。「自分が相談をしたら、こういう言い方をされた」「こんな反応をされた」。そして一気に「もうこんな会社、うんざり」「もう、やってられない」という気持ちになり、会社を辞めてしまう。本当にもったいない話だと思います。

 私も29歳で長女を出産する頃が、一番しんどかったです。

「子どもを産んで、そのあと子どもの預け先は確保できるだろうか」
「働きながら子どもを育てていくなんて、本当にできるのだろうか」
「いまでさえ、体が疲れてたまらないのに、出産後も自分の仕事をこれまで通りにちゃんとこなせるだろうか」

 出産前は毎日毎日いろいろなことが不安でした。でも私の中に「辞める」という選択肢がわき上がってきたことは一度もありませんでした。

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生きていく中で壁にぶち当たったとき…