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42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、新型コロナウイルスの影響についてお伝えする。
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朝ドラの打ち上げも、月9の打ち上げも、中止になった。
姪っ子たちは急に春休みになり、保育園も時間の問題という空気。
ライブや演劇の公演が次々に中止になって、この2週間でウイルスの猛威が一気に身近に迫って来た。
近所のスーパーの、トイレットペーパーやティッシュ類の棚は空っぽ。
開店時間には店の前に長蛇の列ができている。
急に来た。異常事態。
しかし「感染力が強いらしい」ということは嫌という程伝わって来ているが、重篤化する人が全体の2割、というのをどう捉えたら良いのか分からない。
「変異する」と言うが、変異するとどうなるの?
大きく聞こえてくるのは、検査が追いつかない、とか、治癒したのに再び発症した、とか、治療法がない、とか、不安になる情報ばかり。
あの、震災の時の状況をいやがおうにも思い出してしまう。
放射能。ウイルス。見えない敵を前にぎゅーっと縮こまるしかないこの感じ。
とても精神衛生上よろしくない。
こんな、予見しようもないような事態で、経済的な打撃を受けるのは辛いよなあ。
もし、私が主宰する演劇公演中だったら、と考えると冷や汗が出てくる。
演劇の公演の収入源はチケット代のみ。
なので、もし全公演が中止になったら、収入ゼロ。
それまでのチラシ制作費や稽古場のレンタル費、劇場のキャンセル料、まるまる赤字になる。総額およそ数百万。
スケジュールを押さえたスタッフ、キャストにもギャラを支払えない。
大規模な公演になると、保険に入るが、今回のコロナは保険、おりたのだろうか?
ほとんど重篤化する人はいないとは聞くものの、もし感染したら魔女狩りのごとく吊るし上げに合いそうで怖い!
もはや、この殺気立った空気の方が怖いのだ。
たくさんの人たちの不安で、街がどんよりとしている。
何も知らないちびは、今日も元気いっぱいだ。