松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長
松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 オリンピックや世界大会でメダルを取った選手が、「ドーピング違反によりメダル剥奪」といった残念なニュースは、後を絶ちません。勝利に執着するあまり、禁止薬物を使ったドーピングに走る選手たちがいることは、スポーツ界において大きな問題です。その一方、ドーピングとは無縁の選手が、たまたま飲んだ風邪薬やサプリメントが原因となり、ドーピング検査が陽性になるといった「うっかりドーピング」の悲劇も起きています。そこで、正しいドーピング防止の知識や、薬の選び方・使い方を相談できる「スポーツファーマシスト(薬剤師)」について、日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男医師に教えてもらいます。

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 オリンピックやプロスポーツなどの大会では、トップアスリートたちが卓越した身体能力を発揮して輝いています。しかし、その華々しい舞台の裏側には、ドーピングという闇の世界が潜んでいます。

 ドーピングとは、競技力を高めて優位に戦うために、禁止されている物質や方法を使用したり、その使用を隠ぺいしたりする行為です。その歴史は長く、19世紀後半に麻薬や興奮剤が使用されるようになりました。旧共産圏国などでは、国の威信をかけた国家ぐるみのドーピングもおこなわれていました。

 ドーピングは、ときに選手の身体に深刻な悪影響を及ぼします。過去にはドーピング薬物の副作用により、死亡した選手もいるのです。それでもなお、ドーピングは後を絶たず、最近ではスポーツが商業化した結果、巨額の褒賞金を得るために勝利至上主義に走る選手たちもいるのが実情です。

 ドーピングは「スポーツのフェアプレーの精神」に反する、許されざる行為。ドーピングがおこなわれれば、競技スポーツ自体の存在価値はなくなります。スポーツの価値を守るために、また選手を健康被害から守るためにも、ドーピングは排除されなければなりません。

 ドーピング行為に反対する、アンチ・ドーピング活動を推進するための組織として、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設立されました。WADAは世界中の人々が公平で公正なスポーツに参加できるよう、世界アンチ・ドーピング規程(World Anti-Doping Code、以下Code)という、全世界・全スポーツで共通のルールを作っています。日本では、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が設立され、アンチ・ドーピングの活動を展開しています。

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「うっかりドーピング」でも同様に罰せられる