プロレスの技術に確固たる自信があるからこそ、『お笑い系』に没頭し自らの役割を完璧に成し遂げることができる。

「いつもどうやったらお客さんが笑ってくれるかを考えている。我々のお笑いで会場の偏差値を-100に落としておいて、メインの試合が偏差値を+100にすればトータルでプラス200。そうすればこっちのもん。メインイベントや、後ろの試合につなげるためにお笑いに徹することが我々の仕事であり技術。『お笑い系』にプライドを持っている」。

 日本プロレスから全日本プロレスという、プロレス界の保守本道を歩みづづけてきた百田。長いキャリアの中では『お笑い系』のみでなく、世界タイトル保持者などとの対戦も重ねてきた。確固たる技術は折り紙つき、菊タロー同様にプロレス技術の重要性を強調する。

「『お笑い系』ができるのも、プロレスラーとしての身体や技術があるから。普段から道場などでしっかりとした身体を作り上げているから、ふざけたこともできる。『お笑い系』と言っても、試合の中では技を出したり、逆に受けきらないといけない。そこはタイトルマッチでも『お笑い系』でも同じ。どんな状況でも対応できるようにしておくための準備が大事。そうじゃないとプロレスラーとは言えない」。

 団体の最高責任者として、佐々木貴は『お笑い系』の重要性や意義を語ってくれた。しっかりと仕事をこなしてくれるレスラーへのリスペクトを欠かしたことはない。

「全試合が終わった時に、あの試合、選手がおもしろかったねと思い出したり、語り合ったりしてくれたらうれしい。例えば、いつも見に来てくれる常連さんのファンは団体の選手すべてを知っている人が多い。でも初めて見に来てくれた人や普段は他団体しか行っていない人など、そういう人たちの心に少しでも残りたい。それが『お笑い系』の場合も多い。欠かせない存在だし心から尊敬している」。

「プロの興行、ということを考えないといけない。終わった時にお客さんが『今日はおもしろかった、良かったね』と感じてくれないといけない。できるなら会場に足を運んでくれたすべての人たちにそう感じて、家路について欲しい」

 百田は幾度となく『興行』としての重要性を述べた。トータルで温まり、盛り上がることを常に考えている。

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「プロレスは客とも戦わないといけない…」