「海列車」は通年にわたり運行されているが、2019年6月以降は三陟のひとつ江陵寄りの三陟海辺(サムチョクヘビョン)駅での折り返しとなっている。
これは東海線(現在は釜山鎮<プサンジン>~盈徳<ヨンドッ>間)の三陟乗り入れ工事を受けての措置で、東海線全線開業後の運行形態が興味を引くところだ。
■駅に通じる道もない“秘境駅”と山岳路線を楽しむ
山岳区間をテーマにした観光列車も運行されている。ソウルと中部山あいに位置する鐵岩(チョラム)とを結ぶ「O-Train」と鐵岩~栄州(ヨンジュ)で運行されている「V-Train」である。
「O-Train」は韓国鉄道随一の山岳区間である太白(テベク)・嶺東線沿線観光列車として2013年4月にデビュー。
「中部内陸観光列車」を名乗り、首都圏とのアクセスも担っている。車内にはカフェのほかビデオモニター付き簡易個室や展望座席、子ども向けスペースなどを備え、乗客の幅広いニーズに対応。
運転本数の少ない嶺東(ヨンドン)線では定期列車としての存在価値も高く、観光列車とはいえフレキシブルな利用ができるのも特徴といえるだろう。
「V-Train」の「V」は「Vally」。嶺東線核心部の渓谷区間を行くトリップが楽しめる。レトロ調に設えられた客車は大型の窓に囲まれ開放的。冬期は木炭暖炉が活躍する。沿線には道路網から外れていることから設けられた両元(ヤンウォン)駅など秘境的な駅が続き、駅そのものも観光要素に取り入れられているのが斬新だ。両元駅は駅舎や駅に通ずる道路もないというロケーション。ぜひ散策時間をとってみたいところだ。
■足湯やオンドル部屋もあるのは韓国ならでは
韓国らしさを体験したいなら、「G-Train」(西海黄金列車=ソヘクンビッヨルチャ)がおススメ。
ソウルの副ターミナルである龍山(ヨンサン)と中西部のジャンクション・益山(イクサン)との間を、西海岸地方を縦断する長項(チャンハン)線経由で結ぶ。
鮮やかな黄色一色で外装が整えられたディーゼル機関車が黄色や緑、赤など色鮮やかな客車を牽引。見た目にも楽しい列車だが、ユニークな車内設備がまた楽しい。