もじゃもじゃのアフロヘアがトレードマークの元朝日新聞記者・稲垣えみ子さん。朝日新聞のコラムで、電気代月200円の節電生活を明かし話題を呼んだことも。精力的に執筆活動を続けてきた稲垣さんが、節電生活をするなかで冷蔵庫、洗濯機と次々と家電を手放していきつつも、「それでも捨てられなかった4つの家電」を、最新刊『アフロ記者』(朝日文庫)から紹介する。
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例えば洗濯機です。
これも私にとってはまさに生まれてこのかたの必需品であり、洗濯機のない人生なんて想像したこともありませんでした。
ところが「冷蔵庫をやめた」というコラムを書いた時、それを読んだ読者の方から「洗濯機はお使いなんですか? あれこそなくても全然大丈夫ですよ」というお手紙を頂き、えっそうなの? と、試しに挑戦することにしたのです。
で、やってみた。
すると読者の方のお手紙にあったとおり、拍子抜けするほど全く大したことじゃありませんでした。
風呂に入る時、洗面器でその日出た洗濯物を洗うだけのことです。
時間にすれば数分間。
以上。
これも、特別なテクニックや手間が必要なことでも何でもありません。
しかも、その日の汚れ物はその日のうちに洗うので実に気分爽快です。
というのも、洗濯機を使っていた時は、毎日洗濯機を回すほどの汚れ物が出るわけではないので、週末に1週間分をまとめて洗っていたのでした。
すると、汚れ物を最大1週間放置することになってしまう。
当時はそれを当たり前のこととして気にもとめていなかったのですが、その生活を脱してみると、意外に心のどこかで小さなストレスが蓄積していたんだなあと気づかされたのです。
さらに毎日洗濯をするので、下着やらタオルやらのストックも最小限で済むのです。
それまでは下着は最低7セットないと暮らせなかったのですが、雨が降ることを考えても3セットあれば十分。
そして物干し場のスペースもちょっとで済む。しかもスペースに余裕を持って干せるので、乾きが早い。すなわち嫌な臭いが発生することもない。