9月13日午前7時ごろ、東京・渋谷のマンション7階の一室で、榊(さかき)みどりさん(38)と長男の駿之佑(しゅんのすけ)くん(5)の遺体が発見された。2人は寝室のベッドに仰向けに寝かされており、死因は窒息死だった。

 同日の午前4時ごろ、榊さんの内縁の夫である中澤慶夫容疑者(61)が愛車のメルセデス・ベンツGクラスで出ていく姿が防犯カメラに映っていた。親族に「2人を手にかけた」と電話。部屋には「後を追う」というメモ書きが残されていた。車は長野県茅野市で14日に見つかり、遺体も17日、近くの山で発見された。首をつって自殺したとみられ、「3人で暮らせて幸せだった」というメモも見つかった。

 自宅は原宿駅の目の前で、家賃が月100万円を超える部屋もある高級マンション。中澤容疑者は目白、麻布などで飲食店を経営するやり手の社長だった。

「前妻との間に娘が2人いましたが、離婚。15年ほど前に自身が経営するネイル店の責任者だったみどりさんと出会い、親密になった」(知人男性)

 だが、その優雅な日々は長くは続かなかった。旧知の飲食店関係者は言う。

「昨年の震災以降、経営が苦しくなり、店の家賃も滞納するようになった。それでも、みどりさんは友人と1カ月間の海外旅行に行くなどしており、中澤さんに対して時に感情的になることもあったと聞きます」

 2人の間に何が起きていたのか。同飲食店関係者は13日の早朝、中澤容疑者と電話で話したという。2人を殺害後、車で西へ向かう、まさにその最中のことだ。

「朝5時ごろに突然、電話がかかってきた。自分の経営する店が心配だと話して、『おれは情けない』と。心配して、どこにいるのか聞くと、『今は高速を走っている』とだけ答え、事件のことは話さなかった。電話を切る時、何か寂しそうな声でした」

週刊朝日 2012年10月5日号