具体的にいえば「寺田心って嫌いだったけど、あのCMを見てるうちになんだか好きになってきた」という人がちらほら出てきたのだ。これはかつて、ぶりっこキャラでアンチも多かった松田聖子が髪型をショートにし、ユーミンの曲を歌うようになったりして、同性ファンを増やしていったケースに少し似ている。彼もまた「ぶりっこ」だけが売りではないことを証明して、自分への風向きを変えたのである。

 これはけっして容易なことではない。実際、土屋太鳳などはあの声やしゃべり方を武器にしきれず、風向きを変えられずにいる。彼の場合、よかったのはまず、あの声としゃべり方が「可愛い」だけでなく「面白い」にも使えると気づいたCMの作り手がいたこと。そして、その期待に子供ならではの柔軟性で応えられたということだ。

 実際、ブックオフのCMでもパターンによって、最近のシャウト型から従来のぶりっこ型まで声色などを使い分けており、そのスキルはなかなかのものだ。

■人気子役がぶつかる壁を乗り越えた

 ただ「ブックオフなのに本ねぇじゃーん」よりひと足早く、彼の面白さを知った人たちがいる。ドラマ「トクサツガガガ」の視聴者だ。ブックオフCMは昨年の春休み期間だったが、こちらはその1月から3月の放送。小芝風花がオタクの腐女子に扮し、それゆえの泣き笑いを描いたこの作品で、彼は「ダミアン」というあだ名の小学3年生を演じた。

 その由来はもちろん、映画「オーメン」に出て来る悪魔の子だ。もちろん、そこまでおどろおどろしい存在ではないが、マセガキっぽいというか、こしゃまくれたところがあり、大人のヒロインにもズバズバ鋭いことを言って、感心させたりする。たとえば、こんな発言だ。

「クラスメイトでも ともだちかは わからないでしょ」

 これもあの声としゃべり方だからこそ、より活きる。とまあ、可愛いけど毒舌というキャラをすでにここで披露していたわけだ。

 そのハマりっぷりを見ていたおかげで、ブックオフのCMにはさほど驚かなかった。むしろ、ドラマとCMを連動させ、一気にイメチェンを狙っているのだろうかと感じたくらいだ。いずれにせよ、彼はこの時期、人気子役がぶつかる最初の壁を乗り越えたといえる。

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天才子役の将来は?