7月7日、七夕の日に、毎年恒例の九州戯曲賞の選考会行ってきました。
今年の審査員のメンバーは、横内謙介さん、松田正隆さん、古城十忍さんというなじみの方々に加えて、今回初めて岩松了さんが参加されて、僕を含めて五人になります。
この九州戯曲賞の応募対象は、九州に在住、または主たる活動の場とする劇作家の新作ということなのですが、審査員も九州出身だったり縁が深かったりする方で構成されているのですね。
今回初参加の岩松さんも、長崎は佐世保の出身だそうで、こうしてみると結構九州出身で活躍されている劇作家って多いものだなと思います。
今年で四回目ですが、毎回参加しているのは僕と松田正隆さんだけになりました。
毎回、松田さんの講評は楽しみにしています。
お互い作風は全く違うし、好きな作品の好みも異なるのですが、異なる故に視点が新鮮で、年に一回、この九州戯曲賞の選考会でだけお会いするというのもまた面白いと思っています。
松田さんは、今まで京都を活動の拠点にされていましたが、この春から東京に引っ越しされたそうなのですが、その理由を聞いて驚きました。
この春から、立教大学現代心理学部の教授になられたのですね。
ここは僕が卒業した学科なのです。30数年前はまだ文学部心理学科でしたが、7年前に独立して現代心理学部となりました。
通常の心理学を学ぶ心理学科の他に、映像身体学科という映像制作や戯曲など創作を学ぶ学科が併設されました。
実は、この学部が出来る前、当時の立教大学の総長が僕の卒論ゼミの担当教授だった縁で、「今度、心理学科を独立させて、映像や演劇の創作を学ぶ学科をつくるんだ」という構想を伺っていたのですね。
その先生はそのあと定年で退官されたので、その後、詳細を聞くこともなかったのですが、その映像身体学科に、松田さんが教授として赴任されるというのは面白い縁だと思います。
後輩達が、彼からどういうことを学ぶのか、興味は尽きません。
九州戯曲賞そのものは四回目ともなると、やや最終選考に残るメンバーが固定化されてきた気がします。
前回の大賞受賞者、島田佳代さんや、今年の大賞受賞者、川津羊太郎さんのように確実に成長していたり自分の表現を模索している姿勢が連続して見られるのは、こちらとしても刺激になる経験です。
ただ、中には、連続して見ていると、こちらからは作者が自分の作風に迷い、その長所が消えているように思える作家もいます。
ひょっとしたら、我々選考委員の意見が、悪い風に伝わって、この人を混乱させているのかもしれない。そんな風にも思ってしまう。
もちろん、作品は作った人の物。他人の意見に左右されるのもその書き手の責任だと、基本的には思っています。
それでも、最終選考にまで残った人達とは直接会えて懇親会でじっくり喋ることができるのが、九州戯曲賞によいところ。忌憚のない意見を、面と向かって語り合うことができます。
来年、また今年のメンバーが残るのか。だとしたらどういう作品を書いてくるのか。それともまったく新しい才能に出会えるのか、いろいろと楽しみなところです。