「確かにコンテンツが増えてはいるけれど、その分、消えざるを得なくなる者も少なくない。水商売とはよく言ったもので、いつ必要とされなくなるか、誰にもわかりません。どんなベテランでも役が欲しければオーディションを勝ち進まなければならない。ごくまれに、原作者からこの声優にやらせたいという指名がないこともないですが、そんなケースはひと握りです。
実際、40歳になるまで僕は(声優業界から)来年はいなくなっているだろうと常に思いながら仕事を続けてきました。サムライと言うとカッコよく聞こえちゃうんですけど、消極的なサムライというか、『明日死ぬかもしれねぇ』と言いながら刀を持って歩いているみたいなイメージ(笑)。別に謙虚でいようとしているわけじゃなくて、明日がわからないから調子に乗れないし、あぐらもかけないし、わからないからこそ、いつも本気で取り組んでいます」
(取材・文/久住亜希)
※第2回【浅沼晋太郎「43歳。まだなりたいものになれていない】はこちら
●浅沼晋太郎(あさぬま・しんたろう)/1976年、岩手県生まれ。多摩美術大学卒業後、脚本家・演出家・俳優・コピーライターとして活動。2006年『ZEGAPAIN-ゼーガペイン-』ソゴル・キョウ役をきっかけに声優として活動を始める。『あんさんぶるスターズ!』(月永レオ役)『A3!』(茅ヶ崎至役)など多数出演。音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』碧棺左馬刻 役。1st写真集『POPCORN』が2020年1月10日、インディペンデントワークスより発売。