千葉大学病院・精神神経科特任助教の大石賢吾医師が、認知症、発達障害に関するあなたの悩みにおこたえします! あらゆる人間関係、組織のなかで、相談者や家族の身に起きている事態をお聞かせください。採用されたご相談は本連載で紹介します。
千葉大学病院・精神神経科特任助教の大石賢吾医師が、認知症、発達障害に関するあなたの悩みにおこたえします! あらゆる人間関係、組織のなかで、相談者や家族の身に起きている事態をお聞かせください。採用されたご相談は本連載で紹介します。
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 一人で暮らす親に認知症の症状が出てきているので、そろそろ施設への入所を考えたほうがいいのだろうか? そんなことを考える子ども世代の方も多いのではないでしょうか。施設への入所は、親のことを思い健康を願う家族にとっても、特に気をもまれる難しいテーマだと思います。千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師が相談に回答しながら、入所を考える二つの指標について語ります。

【50代女性Aさんからの相談】認知症の母がいます。父は5年前に亡くなり、子どもは私を含めて二人とも結婚して実家を出ているので、母は実家で一人で暮らしています。これまでは、どうにか一人でも生活できるくらいだったので、ヘルパーさんに来てもらったり、デイサービスを使ったりしてなんとかやっていました。最近、そのヘルパーさんからご飯を食べてないことがあると聞いて、一人で暮らすのが難しくなってきたように感じています。私も妹もそれぞれの家庭があって一緒に暮らすのは難しい状況です。

 先日、妹と相談したときに施設の話になりました。確かに誰かが見てくれる施設なら安心なのですが、母を施設に入れてしまうということが申し訳なく悩んでいます。認知症の治療をしていて、施設への入所を考えたほうがいいタイミングとかあったりするのでしょうか。

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 認知症のお母様が離れて一人でお暮らしをされているとのこと、大変心配されていることと思います。認知症の外来診療にあたっていても、Aさんと同じように、施設への入所で悩まれているご家族から相談を受けることは少なくありません。

 昨今では、介護支援サービスは非常に多様化していて、施設への入所に至るまで、それぞれのニーズに応じた対応が可能になってきているように思います。しかし、ご本人の気持ちや、Aさんが述べているような周囲からの気持ち、経済的な事情など、利用する際に悩みの原因となりうる課題を挙げるときりがありません。


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大石賢吾

大石賢吾

大石賢吾(おおいし・けんご)/1982年生まれ。長崎県出身。医師・医学博士。カリフォルニア大学分子生物学卒業・千葉大学医学部卒業を経て、現在千葉大学精神神経科特任助教・同大学病院産業医。学会の委員会等で活躍する一方、地域のクリニックでも診療に従事。患者が抱える問題によって家族も困っているケースを多く経験。とくに注目度の高い「認知症」「発達障害」を中心に、相談に答える形でコラムを執筆中。趣味はラグビー。Twitterは@OishiKengo

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「生活の中心を自宅から施設へ移す」ことをどう捉える?