音楽家・俳優・文筆家 星野源(撮影/TAICHI NISHIMAKI)
音楽家・俳優・文筆家 星野源(撮影/TAICHI NISHIMAKI)
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 1月、3年ぶりの有観客イベント「Gen Hoshino presents “Reassembly”」に臨んだ星野源さんがAERAに登場。イベントにかける思いを語った。AERA 2023年2月20日号から。

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 その日は星野源にとって特別な一日になった。

 大阪、横浜で計4日間にわたり開催された、3年ぶりとなる有観客イベント「Gen Hoshino presents “Reassembly”」

 の最終日、1月28日──。

 彼がこう切り出したのは、5曲目の演奏が終わったあとだった。

「聞いたんだけど、声を出してもいいんだって?」

 音楽やスポーツなどのイベントで、収容人数の上限を撤廃することが決まったのは前日、27日のこと。つまりこの日から、収容人数の如何を問わず、観客が大声を出して歌い、騒ぎ、応援することが──もちろんまだマスクを着用したうえで、だが──可能になったのだ。

 それまで拍手を送っていた、横浜アリーナの1万3千人を超える観客から、堰を切ったように歓声が上がる。それは新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、困難な日々を生き抜いてきた人たちの、魂の叫びだった。

「お帰りー!」

 客席から声がかかる。すると、「泣きそうなんだけど……」と言って、彼は膝に手をつき、うつむいたまま絶句する。

 さかのぼること数日前、彼は久々の有観客イベントから始まる2023年の心境をインタビューで話していた。

AERA 2023年2月20日号
AERA 2023年2月20日号

「この3年間、ものすごく頑張ってきた気がするんですよね。だからここからは次のステージに移る感覚だなって。トライアスロンにたとえると、今まで泳いできて、2023年からは陸に上がるみたいな。そんなイメージですね」

 3年ぶりに満場の声援を浴びた彼の脳裏を、いったい何がよぎったのか? 顔を上げると、その目には涙が光っていた。

 この日はくしくも彼の誕生日。

「一生忘れられない日になりました」

 と、ライブを終えて彼は言った。

(ライター・門間雄介)

AERA 2023年2月20日号