そして皇太子だった上皇陛下が、一般女性だった美智子さまと軽井沢でテニスをして、好きになられて電話をかけてきてくれた。それが男性に告白された初めての経験だったそうです。
「初めてだったから、ほんとに嬉しかったのよ」
美智子さまはそんなふうにおっしゃいました。だから「結婚してくれ」といわれた時に、いっぺんに燃えあがって、喜んでお嫁に行こうと思われたそうです。
ところが、うちじゅうが大反対。「大変な苦労をする」と、御両親もきょうだいたちもみんなが反対した。でも、初めて好きになった人だったから、どんな苦労をしてもいいと頑張って、とうとうご自分の意志をつらぬかれた。
「だから、どんな苦労があっても辛抱できたのです」
そんなふうにおっしゃいました。
お二人は今もずうっと仲よくしていらっしゃいます。
皇太子さまのプロポーズとあっては断るわけにはいかない。それが理由じゃないんです。美智子さまは生まれて初めて男性を好きになられたから、自分がどうしても結婚したいと思ったから皇室に嫁がれたのです。
だから「相聞歌を寂聴さんがほめてくれたのがとても嬉しかった」と。
美智子さまは、私がこの年まで生きてきてお会いした中で、最高の日本の女性の鑑です。
やはり誰にとっても、ただ一人を愛することこそ、人生の一番の幸せということなのでしょう。