若手のときにどっちも払えていなかった人は、その後、どうしているんだろう。生活ができるようになったらちゃんと払っているんだろうか。

 さらに言うと、芸能で食えるようになった人が節税のために個人会社を立ち上げるのも一般的な方法です。所属事務所と個人だけだと、所得税をたくさん払うことになるから、税率の低い法人税に切り替えたいとみんな考えるわけです。それは一般的な企業が儲け過ぎちゃったときに別会社をつくるのと同じことで、悪いことじゃない。人によっては家族を社員にすることもあるし、別に人を雇うこともある。けど、税金対策の会社も名ばかりじゃなく、ちゃんと勉強して運営していかないといけないんですよね。

 僕は30代で個人会社を立ち上げて、かみさんを社長にして経理の仕事をしてもらっています。我々は個人会社のほうの社員だから厚生年金が発生しますし、税理士や弁護士などのスタッフを雇う必要もあります。

 個人会社をつくらずに、所属事務所とタレント個人という関係なら、お金のことは所属事務所の経理に相談できるんですよ。でも、個人会社をつくっちゃうとお金が所属事務所から個人会社へ振り込まれるだけで、「税務的なことはそちらでやってください」ということになる。個人だと納税のときだけ一時的に税理士を雇うということもありますが、会社だとそうはいかないので年間契約です。僕の場合は、何にお金を使ったのかをかみさんがすべてデータにして、税理士と話し合って帳簿にしてくれています。3年に1回ぐらいは税務署の調査が入りますが、うちの会社はかみさんと税理士が結構きちっとやってくれていたのもあって、今年は優良申告法人として表彰を受けました。

 そういうことが自分でできない人、ルールがわからない人は金を使ってでもスタッフを雇わなきゃいけないんですよね。つまり、税金対策だとしても、会社をつくるとスタッフの人件費などで出ていく金も増えるということです。

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人それぞれの「異常に欠けている能力」