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お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さんの個人事務所が、東京国税局から約1億2千万円の申告漏れを指摘された問題で、所属事務所の吉本興業が活動自粛を発表するなど波紋が広がっている。同じお笑い芸人のカンニング竹山さんは「大人なら税金を払わないと逮捕されることぐらいわかるはず」と疑問を投げかける。
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徳井君のケースは、記者会見の様子と、何年も申告すらしていなかったということから考えても、芸能人が嘘をついていましたというこれまでのパターンとはちょっと違うんじゃないかと感じるんですよね。もし、一部だけ申告していたなら「脱税じゃねーか!」ってことになるんだけど、本人は税金のこともわかっていないようだったし、そこまで緻密に金儲けしてやろうという考えでやったとも思えない。あれがもし、すべて計算ずくだったら相当の悪党なんだけど、「え?」と思うことがいっぱいあって、想定される範囲のかなり上をいっているというか……。
もちろん、何年も申告していなかったといういい加減さと、知識のなさは問題だったと思う。メディアでは個人事務所「チューリップ」の法人税などの申告がされていなかったことが追徴税額1億円以上と騒がれていましたけど、もう一つ、そこからもらった役員報酬の所得税の申告も必要なんですよね。今後、額はもっと大きくなるのかなと思う。
社会保険に入っていなかったということも、芸人という仕事の性質上、売れない時代に健康保険とか年金を払っていないというケースはよくあります。若手の中には、親に言われて年金だけはバイト代からちゃんと払っているという人も結構いますが、多くは単純に金がなくて払えないわけです。事務所に所属していたとしても、会社員という契約ではないし。直接的に法を犯しているわけじゃありませんが、病院に行ったときに自己負担が増えたり、将来、年金をもらえないということはあります。
僕の若いころは、運転免許証を持っていなかったので、保険証を身分証明書にするため国民健康保険だけは毎月払っていました。収入が低かったので一番安い額で。年金は払えていなかったので、30代になりこの仕事で食えるようになってから、ちゃんとしないといけないなと思って、窓口で「できる限りさかのぼって払いたい」と言って納付しました。そのとき「竹山さん、良かったですね。もう少し後だったら納付期間が足りなくて、年金もらえませんでしたよ。今から払うのは全然悪いことではありませんよ」と言われたのを覚えています。