──では、今後、どういったことが必要とされるのでしょうか。
選挙が終われば、賢いリーダーにすべてをおまかせ、という傾向を『未来への大分岐』では、「政治主義」と呼びましたが、その政治主義から脱して、自分たちの手で社会運動を育て、社会を変えていく必要があります。社会の苦しみの現場にこそ、解決の糸口があるのですから。
社会運動を育てるというような面倒なプロセスよりも、「上から」の改革のほうが、一見、「効率的」に見えますよね。しかし、分断の深まる民主主義の危機や気候変動の問題など、この状況をつくるのにもっとも加担してきたのは、国家や資本に近いエリートたちです。
だとすれば大衆の声を強くしていくしかない。社会運動と政治のつながりを欧米の左派たちが忍耐強く作ってきた点は、まさに見習うべきところなのです。
(聞き手/AERA dot.編集部・西岡千史)