このコラムも伝えるという手段の一つだと思うので、テレビで映っていない地域にも水害や断水などの被害がいっぱいあると知ってほしいと思います。福島県も宮城県にも、それ以外の地域にも援助を求めているところがいっぱいあります。

 あと、千葉で停電が続いた台風15号もそうでしたが、これからはこの規模の台風が、慣れていない地域にもどんどん来るようになるのかなと思いますよね。南の方の魚が北上してきているように、我々が子どものころに地元の福岡で体験していたことが関東や東北まで上がってきている気がするんです。きっと台風もそう。そうなると防災で想定してきたことも変わってきますよね。

 僕らは学校で避難訓練をするとき、火災の設定だったけど、関東の人に聞くと地震のための訓練だったそうなんです。だから僕らは上京したてのときは地震の知識がゼロで、どうしたらいいのかわからないこともあったんだけど、その逆が起きているような気がする。僕らは台風に慣れちゃっていたけど、全国的に台風を想定して対策しなきゃいけない時期になったように思う。そういう意味でも、知恵を共有することは必要です。

■テレビも計画運休があっていい

 それに伴ってもうひとつ、画期的な変化があったんです。AbemaTVで毎週土曜日の深夜に僕がMCで生放送をしている「土曜 The NIGHT」というネット番組を休みにしたんです。これまでのテレビだったら、生放送でも収録でも、暴風雨の中、全員が出てきて、絶対やらなきゃいけないものだったんですよ。ニュース以外の番組でも、泊まり込みでもやる。それが普通でした。

 でも土曜の夜に関東を直撃するという予報が出ていて、2日ぐらい前に、番組のプロデューサーから「ゲストが来られないかもしれないけど、どうします?」と連絡がありました。僕に気を使ってくれて「竹山さんが生放送をやりたいならやる態勢はあります」と言ってくれたんですが、スタッフの安全も守りたいし、働き方改革という流れもあり、ここであえて止めるという選択をするのも今の時代の新しいメディアの作り方じゃないかという話をされました。僕も今やる必要はないと思ったので「そういう考え方があるなら、同感です」と。「それでもやらなきゃいけないという考えって時代錯誤のような気がするんですよね」という話をして、最終的にはプロデューサーが2日前という早いタイミングで止めるという判断をしました。

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