また、WEB予約後に窓口等で紙の切符に交換するというシステムは、WEB予約の利便性に即したものなのかという疑問もある。「スマートEX」でチケットレス乗車が導入されているが、スマートフォンへの専用アプリのダウンロードと、サービスに該当するICカード式乗車券が必要で、わかってはいても煩雑に感じる人は少なくないのではないだろうか(対象となるのは米国、カナダ、タイなど7カ国のみ。中国、韓国、ヨーロッパなどは未対応)。

 加えて、訪日客向けの鉄道パス「ジャパンレールパス」の指定券WEB予約サービスはJR東日本が運営するのみで、東海道新幹線ほかは対象外となっている。

 その上で、今回発表された新サービスの特大荷物持ち込み予約は指定席のみで、自由席など対象外の車両があるなど、その扱いの違いは、にわかには理解できない可能性もある。

 新サービス云々(うんぬん)というよりも、現状についての物言いとなってしまったが、もしかすると、最も必要としている利用者層が、せっかくのサービスを受けられない可能性があるのではないだろうか……? 政府が主体となって訪日客の増加を促進しているが、海外からの利用者にとって分かりやすいシステムの構築を期待したい。

 それでは、海外の鉄道ではどうだろうか? 鉄道車両内の大型荷物置き場を導入している国や鉄道会社も多い。空港と市街地とを結ぶ空港連絡鉄道では一般的な設備といえるが、ヨーロッパのICEやTGV、タリス、韓国のKTX、中国の動車組(高速鉄道)など各地でお目にかかることができる。

 いずれも予約は不要かつ無料で利用可能だ。それだけに、追加料金がかからないとはいえ、事前予約が必要というシステムが、外国人の目にどのように映るかが気がかりである。なお、中国では空港同様の荷物検査があるほか、有料の託送制度も設けられている。

 きっぷ類のWEB予約システムについては、海外在住の外国人が利用できるシステムがある国は多い。

 ドイツ、フランスなどヨーロッパの主要国はもとより、韓国やタイ、マレーシアなどでもパソコンや携帯端末を通しての予約・購入が可能で、自宅などでプリントアウトしたEチケット控えでそのまま乗車できる(ヨーロッパでは決済に使ったクレジットカードの提示が必要な場合もある)。東南アジアの国々で特急に乗車していると、現地の乗客でもEチケットを利用している人が多いように感じられる。

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