沿線の主な駅では、ご当地キャラクターのお出迎えや特産品プレゼントなどのイベントが開催されるほか、敦賀市、小浜市でレンタサイクルや観光施設の割引を受けられる周遊パスポートが発行される。
■乗り入れにより広域観光の発展へ、高まる期待
小浜線と京都丹後鉄道は西舞鶴で接続しているが、他社の車両が乗り入れるのは想像以上に難しいものである。「丹後くろまつ号」の小浜線乗り入れに取り組んできた若狭湾観光連盟の岩本克己さんは、次のように語った。
「来たる2022年度の北陸新幹線敦賀開業に向けて、小浜線、若狭エリアへと足を運んでもらえる目玉となる観光列車が必要になるだろうと考えています。その第一歩として『和食の祭典』のタイミングでできることを画策しました。若狭地域の魅力はなんといってもリアス式海岸の海、そして里山の豊富な食材です。若狭のお隣、丹後には、京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』がある。これをなんとか小浜線に走らせられないものだろうか、そう考え奔走しました。このたび各鉄道会社協力のもと、実現することができます。この貴重な機会を生かして、北陸新幹線敦賀開業時、いかに若狭らしく観光客をもてなしていくのかを勉強させてもらえればと考えています」
また、福井県嶺南(れいなん)振興局嶺南プロジェクト推進室の蜂谷美幸さんは、「丹後くろまつ号が小浜線を走ることで、嶺南、若狭エリア魅力である『豊かな食文化』が全国に発信できればと考えています。この運行がきっかけとなり、北陸新幹線敦賀開業に向けて嶺南地域が盛り上がっていく機運になってくれたらと思います。また、若狭エリアと隣り合う北近畿エリアとの広域観光の発展へとつながることに期待しています」と話してくれた。
●「丹後くろまつ号」小浜線乗り入れの情報
【運行日】10月25日(金)・26日(土)
【運行時刻(両日とも)】
・往路(1)西舞鶴9時21分発→小浜10時22分着(2)小浜10時58分発→敦賀11時56分着
・復路(3)敦賀13時30発→小浜14時57着(4)小浜15時45分発→西舞鶴16時53分着 ※25日(金)(3)は関係者専用
【定員】各コース30人
【乗車方法】ウィラーの特設サイト、または電話/050-200-770(10:00~19:00)で事前予約が必要(団体臨時列車のため)
○プロフィール
蜂谷あす美(はちやあすみ)/1988年福井市出身。実家は越美北線沿いの電器屋。国鉄で車掌まで勤め上げた祖父がいる。高校時代の汽車通学時、鉄道の魅力に突如取りつかれ、鉄道雑誌をこっそり愛読し趣味をはぐくむようになる。慶應義塾大学入学後は、鉄道研究会に入会し、ノリと流れで代表まで勤める。大学卒業後は出版社勤務を経て、紀行文ライターに。25歳でJR全路線完乗を達成。雑誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)で「ミルクを飲みに行きませんか」「わたしの読書日記」連載中。2019年7月に初の著書『女性のための鉄道旅行入門』(天夢人)を上梓。