1981年 第63回全国高校野球選手権大会 早稲田実-高知 荒木大輔投手 (c)朝日新聞社
1981年 第63回全国高校野球選手権大会 早稲田実-高知 荒木大輔投手 (c)朝日新聞社

「暑さでバテた経験は一度もない」

 荒木大輔。早稲田実業高、1年夏からエースとして甲子園出場し準優勝。全国制覇こそ叶わなかったが、甲子園5季連続出場を果たし存在感は抜群。マウンド上だけでなく端正なルックスも加わり、『元祖甲子園のアイドル』として記憶に残る伝説的投手だ。

 プロ入り後はヤクルト、横浜(現DeNA)で活躍。現役引退後は、ヤクルト、西武でのコーチ経験を経て、現在は北海道日本ハムファイターズ ファーム監督兼投手コーチをつとめる。米2Aアクロン・エアロズにコーチ留学経験も持つ。

●今の球児が昔と同じことをやっていたら倒れる。

「僕らの時代とは明らかに暑さの度合いが違うので、単純に比較はできない。でも甲子園は暑かったという印象はある。ただ暑さでバテて打たれたとか、自分の投球ができなかったということはない。暑さに強かったのは自分の武器だったと思う」

 荒木が高校入学したのは80年で今から約40年近く前になる。当時の甲子園近郊、兵庫県神戸市の8月平均気温は25.5度。昨年が29.1度だったことを考えると 明らかに気温上昇していることもわかる。

「やはり僕らの頃は今より涼しかったと思う。暑さ対策はスポーツドリンク、そして冷やしたレモンを砂糖ずけにしてベンチに持ち込んでいたくらい。またイニング間は氷で身体中を冷やすとかだった。そういう、いわば原始的な方法でも大会を乗り切れていた」

「現在の甲子園はダグアウト裏にクーラーが入ったりして、試合中のコンディション調整は比較的しやすいと思う。でも最近の暑さを考えれば当然のこと。関西だけでなく関東や北海道でも、ものすごい暑さ。あの中でわれわれの時のようにやっていたら、倒れるよ」

●普段の心掛けでコンディショニングはなんとかできる。

「連投などで、肉体的な疲労を感じたことはあるけど、これはしょうがない。でもそれ以外のコンディショニングは、普段の心掛けでどうにでもできると思う。例えば、暑さ対策では原始的だけど、夜はクーラーをつけず蚊に刺されないように蚊帳の中で寝たりした。東京でも蚊は多かったから(笑)。屋内外で気温差を感じないようにしていた」

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「暑さを特別意識するようなこともなかった」