東京五輪で金メダルをねらうソフトボール女子だが… (c)朝日新聞社
東京五輪で金メダルをねらうソフトボール女子だが… (c)朝日新聞社
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 2020年7月24日の開幕まで1年を切った東京五輪。さまざまな競技がメダル獲得に向けてラストスパートに突入しているが、2008年北京以来の五輪復帰を果たしたソフトボール女子日本代表も12年ぶりの金メダルを視野に入れ、強化に本腰を入れている。

 2019年に入ってからは、5月の女子アジアカップ(インドネシア)、6月の日米対抗(仙台・東京)という2つの国際大会に出場。8月30日~9月1日には、現時点で正式決定している五輪前最後のビッグトーナメントとなる『JAPAN CUP 国際女子ソフトボール大会』(ジャパンカップ、高崎)に挑むことになる。同大会には金メダルのライバル・アメリカを筆頭に、チェコやチャイニーズ・タイペイといった欧州、アジアの強豪国も参戦。「東京五輪の前哨戦」とも位置付けられている。

 そんなソフト女子にとって目下、最大の懸念材料は、大黒柱・上野由岐子(ビッグカメラ高崎)の負傷離脱だ。11年前の北京五輪決勝・アメリカ戦で413球を投げ切り、37歳になった今も日本の絶対的エースに君臨する剛腕が4月27日の日本リーグ・デンソー戦で相手打球を顔面に受け、下顎骨骨折の重傷を負ってしまったのだ。

 当初の診断は全治3カ月だったが、7月21~28日の福島、7月28~8月8日の高崎での両合宿には不参加。状態が不安視されている。

 宇津木麗華監督は7月29日のメディア公開日に「今は軽くピッチングをしている段階。まだバッターを入れた投球練習はできていない」と上野の現状を明かした。「ジャパンカップには戻ってくる予定で、そこに照準を合わせて調整している」とも語っているが、本当に万全の状態で復帰できるかどうかは未知数だ。仮にマウンドに戻ってきたとしても恐怖感や違和感に襲われる可能性も否定できない。

「ベテランだし、いろんな経験もあるから大丈夫でしょうけど、相手に打たれて顔に当たったトラウマを持つ可能性もゼロではない。もう1回当たって同じようなケガをするのも心配なんで、相談しながらやっていこうと思っています」と指揮官も語っているだけに、いかにして「脱・上野」を図るかが、ソフト女子にとって大きなテーマになってくるのだ。

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いくらすごくても、上野だけでは…