劇団☆新感線に関わるようになってもう25年あまり。この年数から考えると、芝居の脚本を外部に書くのは、そんなに多い方ではないでしょう。
 でも不思議なことに、来るときにはかたまって来る気がします。
 今年は、そのかたまって来る年。
 春の「戯伝写楽」と年末の「ジャンヌ・ダルク」と外部に二本の書き下ろしをしました。
 それも不思議なことに、二本とも新感線公演に丸かぶりです。
「戯伝写楽」は「薔薇とサムライ」の真裏。
「ジャンヌ・ダルク」も東京公演が、「鋼鉄番長」の大阪公演と福岡公演に重なっています。
 ずれていれば、新感線の役者がこちらの公演にも出演できたりが可能なのですが、なかなかうまくいきません。
 まあ、書き手としては、自分のホンをよく知っている役者が出てくれることは心強いのですが、つい頼ってしまうところもある。今まで全然接点のなかった方たちと一緒にやることで、書く役の幅が広がることもある。特に僕は、完全に当て書きですので、その傾向は強いかもしれません。

「ジャンヌ・ダルク」も、依頼を受けたときにはおおむねキャストが決まっていました。 歴史上の出来事ですし、今回は殆どが歴史上実在した人物たち。誰をどの人物にふるか。「戯伝写楽」の時も同じような作業はしたのですが、あれは日本の話。喜多川歌麿や蔦屋重三郎、十辺舎一九などどんな人物だったか、おおまかなイメージはあります。あとはそのイメージに沿うかひっくり返すか、役者のイメージにもあわせて考えていけばいい。
 ところが今回は勝手が違う。
 ジャンヌ・ダルクやシャルル七世ならまだイメージはありますが、ラ・トレムイユ卿だのヨランド・ダラゴンだのオルレアン公だの名前だけでもややこしい上に、人間関係も入り乱れている。
 誰をどの役にするか、普段でも苦労するのですが、一段と困惑しました。
 監修もしていただいている佐藤賢一さんの原案を頼りに、資料をひっかき回しながら、なんとかこれでいけるかというキャスティングができました。

 その「ジャンヌ・ダルク」の稽古が、いよいよ始まりました。
 ジャンヌ・ダルク役の堀北真希さんはこれが初舞台。それに対するシャルル七世役の伊藤英明さんも、舞台はこれが二度目と、舞台経験は少ない二人です。
舞台に関しては不安もあるでしょう。
 ですが、本読みを聞いている限り、役に対してまっすぐにぶつかってきている。それはぶれてはいない。これなら大丈夫、白井さんの演出を受けて、本番までには、彼らにしかできないジャンヌとシャルルが出来上がっているはずだと思えました。
 その周りを、経験豊富なベテランが固めている。
 こちらはもう、本読みの段階から手練手管が出てきている。
 まっすぐなメイン二人と好対照で、この芝居、なかなか面白くなりそうです。
 
 と、ここまで書いたところで新感線の『鋼鉄番長』が、橋本じゅんの体調不良で10/20と21の二日間休演したとの連絡が。池田成志はアキレス腱断裂で降板し代役は河野まさとになるとのこと。
 細かいことはわからないのですが、一日も早い回復を祈ります。

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