■田代を講師にしたセミナーをTBSが開催

 冒頭で触れたとおり、今回のEテレでの出演も元タレントとして麻薬依存の恐怖を切々と語っていた田代。警察による厳しい取り締まりを顧みず、麻薬に手を出す人々が跡を絶たないなか、番組を制作する側としても、定期的に取り扱うコンテンツなだけに薬物に詳しく、自らの経験を語れる著名人は欲しているのだろう。

「ただ、あれだけの事件をおこしてバッシングを浴びたのですから、簡単にはテレビ復帰はできないはず。ミュージシャンで覚せい剤に手を出して、更生したのちにテレビに出ている人は数多くいますが、薬物の話は当然タブーです。ところがマーシーは配信番組に出演したりYouTubeでチャンネルを開設したり、地下アイドルのMVに出演するなど、タレント活動にも積極的なように見えます。また最近、TBSは局内社員向けに田代さんを講師として招き、セミナーを開催しているんです。局内で田代さんを起用していこうとう布告ではないでしょうか」(同)

 もちろん地上波ではコンプライアンスの遵守があり、現在のところその出演はかなり限定的だが、順調にネットや地上波以外のメディアでの活動を再開させている姿を見ると、今後は再びタレントとして完全復活する日が来るのかもしれない。

「今回のEテレの番組制作はNHKの大阪放送局でした。たしかに関西のテレビ局は在京キー局と比べて、『罪を犯した芸人でもそれを償えばチャンスを与える』という土壌があるんです。犯罪とまでいかなくても、不倫や不謹慎な行為、負のイメージが着いた芸能人など東京で干された芸能人が関西ローカルの番組で起用される例は少なくない。上沼恵美子さん始め、なるみさん、ハイヒールさんなど、大御所が司会をする関西のバラエティ番組あたりで復活する可能性はあるかもしれない。そこで視聴者からのクレームも減ってくれば、再び全国区への再登場となるでしょう」(前出のバラエティ番組ディレクター)

 TVウォッチャーの中村裕一氏は、田代のタレントとしての能力と今後についてこう分析する。

「シャネルズおよびラッツ&スター時代、『ザ・ベストテン』などの歌番組ではおとぼけキャラとして人気でしたが、それほどは注目されていませんでした。それが80年代後半から90年代初頭にかけて、志村けんファミリーの一員に起用されて大ブレイク。ダジャレや小道具を使ったモノボケを得意とし、志村とのコンビネーションも抜群でした。2000年の盗撮事件後の会見時に言った『ミニにタコができる』は大いにスベりしましたが、今なお語り継がれているフレーズです。残念ながら薬物使用のネガティブイメージはどうしてもぬぐいきれず、スポンサーがつく民放地上波出演は現在不可能に近いイバラの道ですが、もう二度と薬物に手を出さず、とことん自虐を貫けば、いつか奇跡が起きるかもしれません」

 田代の全盛期だった頃に比べると、コンプライアンスが格段に厳しくなった昨今のテレビ業界。その狭い網の目を縫って、再び日の目を見ることはあるか。(黒崎さとし)

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