2000番台では座席間隔が980mmに拡大されたが、それでも3人掛け座席は回転しないため中途半端な印象を残した(E2系新幹線では両側の肘掛けを固定するなどの工夫で、980mmで3人掛けを回転させている)。

 当時はあまり評判がよくなかった座席だが、座り心地自体は悪くはない。背もたれのカーブは自然であり、座面もバケット型で腰の収まりがいい。前の座席の背面には中型テーブルや網袋が設置されるなど、サービス向上も感じられる。

 0系の普通車座席は、JR時代に「こだま」「ウェストひかり」の2列+2列化でさらに進歩した。筆者は2列+2列になった「こだま」には乗車したが、大きめの背面テーブルで座席幅もやや広く「グリーン車と普通車の真ん中だなぁ」と感じた記憶がある。

 また、2000番台ではグリーン車の座席も、普通車と同様に200系新幹線と同じ座席へと変更された。生地はブラウン系モケットとなり、肘掛け幅が1cm程度広くなったほか、大型の背面テーブルも設置された。

 筆者は首の後ろが「浮く」座席への評価は低めだが、この座席は背もたれの曲線形状が自然であり、首が疲れにくい。現行の新幹線座席に劣らぬよい座席である。

■それ以外の座席の座り心地

 なお、0系には上記以外の座席も存在する。「リニア・鉄道館」への取材で、1976(昭和51)年以降に新幹線に導入された、多目的室の座席に座らせてもらうことができた。国鉄形車両の向かい合わせ座席に近い座り心地だが、やや座面が柔らかく、幅が広い印象を受けた。

 また、今はなき交通科学博物館では運転席の座席にも座ったことがあるが、お尻の部分がかなりくぼんでいて、収まりがいいのが印象的であった。

「0系新幹線」の座席解説、いかがだろうか。この記事が座席をより楽しむための一助になれば幸いである。

○安藤昌季(あんどう・まさき)/1973年、東京都生まれ。乗り物ライター兼編集プロダクション「スタジオサウスサンド」代表。『教えてあげる諸葛孔明』や『旅と鉄道』『鉄道ぴあ』など、歴史や乗り物記事の執筆・企画・イベントを多数手がける。

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