山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
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(写真はイメージ/Gettyimages)
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「新型たばこで広がる喫煙対策」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 6月25日、電子たばこで急成長中のスタートアップ企業が本社を構える米国サンフランシスコ市で、電子たばこの販売を禁止する条例案が可決されました。残すのは、ロンドン・ブリード市長の署名のみ。署名されれば7カ月後に条例として施行され、サンフランシスコ市は、全米で初めて電子たばこを全面禁止する市になります。

 条例案では、サンフランシスコ市内にある店舗での電子たばこの販売やネット販売が禁じられており、違反者には罰金が科される見込みです。「米国の高校生の電子たばこの使用が近年急増しており、健康への影響がよく分かっていない電子たばこが若者の手に渡らないように、あらゆる手段を講じたい」とサンフランシスコの相談役Shamann氏は言います。

 実は、サンフランシスコ市での可決に先立ち、6月4日には、カリフォルニア州のビバリーヒルズ市議会でも、すでに電子たばこを含む大半のたばこの販売を禁じる条例案が可決されています。例外的に販売が認められる場所(特定のシガーラウンジやホテル)があるものの、たばこ、電子たばこ、水たばこ、葉巻などニコチンを含む商品全てが禁止とされ、2021年1月1日から施行予定です。

 さて、日本でも最近よく見かけるようになっている加熱式たばこ。欧米ではニコチンが加えられた電子たばこの使用が急増しており、その健康への影響について近年議論が盛り上がっています。そこで、今回は加熱式たばこや電子たばこを中心に喫煙についてご紹介したいと思います。

 従来のたばことは違う、新型たばこは大きく2種類に分けることができます。一つ目は、加熱式たばこです。葉たばこを加熱することによりニコチンを含有したエアロゾル(空気中に浮遊する粒子)を発生させ、それを吸引します。二つ目は、電子たばこです。液体を加熱してエアロゾルを発生させて吸引します。液体にはニコチンを含むものや含まないものがあり、日本ではニコチンを含むものは販売が禁止されていますが、欧米ではニコチンを含む液体を使用する電子たばこの普及が急増しています。

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タールが削減されても、依存性物質を吸引する製品に違いはない