競技会場の決定は、IOCに委ねられていることもあり、決定までのプロセスは非常に複合的で、代表的な要因をあげるのは難しいという。しかし、東京ドームが選ばれなかった要因の一つとして、セキュリティーの問題は大きいという。
「オリンピックは、世界中から選手、観客、メディアが集まります。各国の中継車や関係車両も通るため、球場の出入り口だけでなく、その周辺も手厚いセキュリティーが必要となります。東京ドームの周辺は、遊園地などの商業施設もありますが、そこも例外ではありません。場合によっては、道路を封鎖する可能性もあるでしょう。また観客の数も膨大です。東京ドームは、駅から非常に近い場所にあるため、それだけの観客を滞留させるには多大なスペースが必要です。そこまでのスペースが東京ドーム周辺にあるのか? IOCの見解としては難しいと判断したのでしょう」(前出の東京2020組織委員会担当者)
ちなみに、神宮球場はオリンピックのメイン会場であるオリンピックスタジアムに立地が近いため資材置き場として使用が予定されている。ZOZOマリンスタジアムは、隣接している幕張メッセでレスリングやフェンシングなどの開催がすでに決まっていたため、競技会場のバランスや観客の増大で生じるセキュリティーの問題などを考慮し、選ばれなかった可能性があるという。
セキュリティーや多大なスペースの問題と言われれば納得せざるを得ないが、新たな疑問も湧いてきた。横浜スタジアム周辺にだって、そんなスペースはないのではないか?ということだ。
■担当者も首をかしげる「横浜決定」
重ねていうが、「会場決定の理由は一つではない」ということなので、その他の理由で横浜スタジアムが選ばれたということなのかもしれないが、なんだか首をかしげてしまう。
当の横浜市はどう捉えているのだろうか。横浜市市民局オリンピック・パラリンピック推進課の担当者に話を聞いてみた。