一方、インプラントをおこなう歯科医師のところに行くと、抜歯をもっと早い段階ですすめられることが多くなります。
なぜならインプラントは歯槽骨に歯根のかわりにインプラントを打ち込む治療です。このため、歯槽骨がある程度、残っているうちに治療をする必要があるからです。
だからといって、必要以上に早い段階でインプラントにする必要はないでしょう。歯周病が進んでいても、きちんと治療をすればまだまだ歯が十分に使えることは多いのです。
このように抜く、抜かないかという判断は、歯の状態によって違うこと、また、歯がなくなった場合、どの方法で歯の代わりにするかなどによっても、抜歯のタイミングは異なります(これは削る、削らないという判断も同じです)。
だからこそ、迷ったら複数の歯科医師に問い合わせることが大事です。その際は意見が異なる歯科医師に聞くのがいいでしょう。
なお、どう治療するかは歯科医師だけでなく、患者さんの意見も踏まえて決めるものです。「この治療しかない」などと、無理強いをするような歯科医師はよくありません。つまり、「100%抜かなくていい」あるいは、「必ず抜かなくてはだめだ」など、選択肢を1つしか提示しない極端な意見を言う歯科医師はおすすめできないということです。
最後に……、一度歯を抜いたら最後、二度と生えてきません。そのことを念頭に置き、例えインプラントを入れると決めていても、慌てず、慎重に治療法を検討していただきたいと思います。
○若林健史(わかばやし・けんじ) 歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演
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若林健史歯科医師の著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』の出版記念講演会を6月12日(水)に浜離宮朝日ホール小ホールで開催します。申し込み方法は、https://publications.asahi.com/news/1069.shtml
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