テレビ番組で平成から令和への移り変わりが特集されると、証券取引場で多くの人が「手サイン」と呼ばれる方法で株の売買をしている風景が流されることが多い。そこにいる人たちが「場立人」で、注文を受けて売買を仲介する人が「才取人」だ。ネット取引の普及で、ニュース番組で見かけた花形職業も消えてしまった。

 そのほか、商品名を呼びながら豆腐などの品物を売る「 呼売人」や「ミシン販売員」も職業分類から消えた。スーパーやコンビニなどの流通インフラの拡大やネットショッピン グの広がりで、玄関先での販売は少なくなっていった。中島さんは、こう話す。

「平成元年はクレジットカードもそれほど普及しておらず、社会のキャッシュレス化は進んでいませんでした。インターネットの常時接続が一般的になったのも2000年代に入 ってからで、そこからアマゾン楽天などのネット販売業者が成長しました。『保険料集金人』も削除されていますが、令和時代も現金を徴収する仕事は消えていくでしょう」

 平成で新たに生まれた職業は25種類ある。なかでも目立つのが「ITサービスマネージャ」「システム保守技術者」「情報ストラテジスト」といったIT関連の職業だ。そのほか、家電製品の説明書などを制作する「テクニカルライター」も登場。いずれも、知識労働の比重が高い「知識集約型」 と呼ばれる分野だ。

 もう一つ時代を映している職業が、「心理カウンセラー」だろう。 平成時代では、うつ病など心の病が日本社会で広く知られるようになった。 教育の分野でも、いじめなど学校生活に不安を抱える子供に対応するため、文部科学省は全公立小中学校にスクールカウンセラーを配置する計 画を進めている。中島氏はこう話す。

「これまで日本では『心理士』『心理カウンセラー』などの資格がありましたが、昨年に国家資格としてはじめて『公認心理師』が生まれ、同年9月の試験では2万7876人の合格者が出ました。国が資格要件を求めたり規制をかけたりするのは、社会のニーズが高まっているということ。日本社会の変化が職業に反映したといえます」

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令和にはどのような職業が生まれるのか