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 新しい年度を間近に控え、新たな職場や、新たな学校で新生活を迎える人が多いこの季節。やる気いっぱいでスタートしたものの、五月病をはじめ、うつ状態などに陥ってしまう人も多い。

 長年、自衛隊のメンタル教官として多くのカウンセリングや心の不調予防策を実施し、定年退官後もNPO法人メンタルレスキュー協会理事長として心の健康づくりにたずさわり、『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』(朝日新聞出版)の著者である下園壮太さんに、ポキッと折れることなく働き続ける上で大切なことを伺った。

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 筆者は定年で退官するまで、長年、自衛隊のメンタルヘルスの現場で仕事をしてきた。ご想像のように、自衛官は過酷な任務を与えられることもある。そんな厳しい状況の中でも心が折れずに任務を遂行できるようにメンタル面のサポートをするのが筆者の役目だった。

 同じ厳しい環境下の勤務でも、折れる人と折れない人がいる。その差は何なのだろう。

■「折れる」には2つのパターンがある

 ここでは「折れる」ことを、結果的にある仕事や職をやり遂げられない状態に陥ることと定義しよう。実は「折れる」にも、2つのパターンがあることに注意するべきだ。

 1つ目は、中レベルまでのストレス状態で「折れる」場合。

 中レベルとはみんな苦しいが、それを我慢してなんとかやっている、やれている状態。現代社会で働く人々のほとんどが、この中レベルのストレス状態の中で仕事をしていると考えていい。この状況で「折れる」人は、一般的には、責任感がない、意欲がない、能力がない、小さなことで悩み傷つく、人に援助を求められないなどの特徴があるだろう。

「折れた状態の人」をたくさんケアしてきた私の経験でも、確かに半数は、このイメージの通りだろう。こういう人へのケアは、挫折したつらさを理解すると同時に、厳しい社会で生き抜いていけるような、社会人として必要な考え方や仕事の仕方を教えることが重要だ。

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具体的にはどうしたらいいのか?