テレビに出演せずとも、彼女たちの行動はインスタグラムなどを始めとしたSNSで見届けることはできる。彼女たちのリアルな姿を見てファンになってしまう女性もいるという。
「世間から叩かれるような言動を指して、“痛い”と笑うことはたやすいですが、そうした“痛い行動”はコンテンツとして成立します。女性誌などでは、しょっちゅう“嫌いな女性”に関するアンケートをよく取っていますよね。そんな中で、有名女優らと肩を並べて彼女たちの名前が上がってくることがけっこうあるんです。多くの女性には、怖いもの見たさというか、彼女たちの行動がどこかで他人事に見えない部分もあるんだと思います。加藤さんや坂口さんみたいに有名人じゃなくても、ネット界に佇んでいる『なんでそんな話をネタにして、第3者に披露するんだ?』というような“痛い女性”のブログをこっそり見ている女性も多いんですよ」(同)
プライベートでのご乱行が実際の仕事にどれほど結びついているかはわからない。だが、自ら情報を発信し、それがメディア関係者に拾われることで、次の仕事が舞い込んでくることもある。
「メディア側からしたら叩きやすいですし、彼女たちからしたらなんでもいいからメディアに出たい。よくあるのがデヴィ夫人や美川憲一さん、IKKOさんなどの“ご意見番”とトークバトルをさせたりして、痛い系女子を更生させるみたいな企画です。この方法だと番組側も傷つかないし、ある程度の視聴率も確保できるのでそういった企画はなくなりません。プロレスのヒール役として常に必要とされるわけです」(同)
もちろんその言動は世間から叩かれることにもつながるので、相当タフなメンタルがないと務まらない。もし“痛さ”をセルフプロデュースできているのだとしたら、それは相当なタレント力と言えるのかもしれない。TVウォッチャーの中村裕一氏は、彼女たち“嫌われ系女子”の人気についてこのように分析する。
「『痛車』や『痛バッグ』にも通じるクセのある魅力を持つ、まさに“痛女”といえる彼女たちの言動がニュースになるのは、それだけ注目され多少なりとも興味を持たれている証拠でしょう。確かに『いいね!』と共感できる部分は決して多くないですが(笑)、他人の目を気にせず自由奔放に生きているその姿に潜在的な憧れを抱く人は少なくないのではないでしょうか。また、たとえ好感度ランキング上位にいる女優でも、同じくらいの熱量で嫌う人が一定数いることも事実です。よく言われる話ですが、ファン(好き)とアンチ(嫌い)は表裏一体。人気商売である以上、嫌われすらなくなったらおしまいなわけですから、どんな声もすべてパワーに変えて大きく羽ばたいて欲しいですね」
芸能界でも「嫌われる勇気」を持つことが大切だということか。(ライター・黒崎さとし)