通常、難民というと、出てきた国の政権が変わると帰還していく。しかしミャンマーの政権が変わりはしないだろう。そして厄介なことに、ロヒンギャ人はバングラデシュの主要民族であるベンガル人である。かつて、バングラデシュからミャンマーに移り住んだ人たちなのだ。
キャンプの外に広がるベンガル人の世界も貧しい。キャンプ内は米や油が支給されるから、外より難民のほうが恵まれているというベンガル人も多い。
最低でも5年、難民キャンプはなくならないといわれる。いや、それ以上かもしれない。
で、コックスバザール空港である。
コックスバザールはもともと、ベンガル人のリゾートである。海岸線は100キロも続く。ダッカの富裕層がやってくる。しかしサービスはバングラデシュ式だから、世界の人々がやってくるようなリゾートではない。ローカルビーチなのだ。
そこが難民のお陰で国際空港になっていくというわけだ。これからも続く、海外からの援助……。海外からやってくる援助団体のスタッフにしたら、コックスバザール空港が国際空港になれば、たしかに便利だ。
それも国際化?
なんだか複雑な気持ちで、ダッカに向かう飛行機乗り込んだ。