それから、4カ月後の5月、2人は入籍。パーティでの出会いからたった半年だった。
久志さんの1LDKのアパートに、芳子さんは椅子2脚とわずかな家財道具と衣類を持って引っ越してきた。椅子の1脚はピアノ用で、結婚を機に電子ピアノを購入。幼いころからピアノを習い、保育士の免許も持っている芳子さんがピアノ、久志さんはロシアの民謡楽器バラライカを弾いて、2人で共通の趣味の音楽も楽しんでいる。
■2人で決めた誓いの言葉
結婚式は挙げていないが、2人で宣誓文を作り、サインをした。その「二人の誓い」は以下だ。
1 私たちは生涯にわたり、伴侶を大切にします
2 私たちは生涯にわたり、伴侶を尊重します
3 私たちはお互いを愛し、邪淫はいたしません
4 私たちは炊事、洗濯、掃除等の家事を厭いません
5 私たちは借金はまったくありませんし、今後もしません
6 私たちは賭け事はいたしません。今後もおこないません
7 私たちは釈迦の教えを心柱として、明るい家庭を築きます
8 私たちはお金の無駄使いはいたしません
9 私たちは健康に留意いたします
以上、誓います。
久志さんの言葉が印象的だ。
「僕は、親が口を挟んできたから離婚することになったんだと、ずっと親を恨んでいました。でも、原因は自分にあったんです。彼女と会って、自分の人生は自分の責任で決めなきゃいけない、自分の人生なんだからって、ようやく気づいたんです」
久志さんの心を変えたのは、芳子さんの笑顔だった。
(取材・文/時政美由紀)