

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、現在、患者数が急増中の「リンゴ病」こと「伝染性紅斑」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
* * *
インフルエンザの流行の陰で、昨年10月以降、首都圏や東北を中心に患者数が急増している「伝染性紅斑」。昨年11月22日には、伝染性紅斑の患者数が都の警報基準を超えたとして、流行に対する注意喚起が発令されました。今年に入っても、小児科定点医療機関約3000カ所からの患者報告数(1月7~13日)が、過去10年の同期と比較して最多となりました。
両側のほほが真っ赤になり、まるでリンゴのように見えることから「リンゴ病」とも言われているこの疾患。子どもの病気であって、大人はならないのでは? と思っていませんか。
そんなことはありません。幼少期にかかったことがなければ、大人になってからも罹患することがあるこの疾患。実は、私も大人になってから、両ほほが真っ赤になり、リンゴ病だとわかったことがありました。
リンゴ病は春から夏にかけて、そして4~5年周期で流行がみられるのが特徴です。近年では、2007年と2011年、そして2015年に全国的な流行が見られました。今回は、自身の経験をもとに、流行中の「伝染性紅斑」についてお話したいと思います。
■警報レベルを超えている地域も
国立感染症研究所の報告によると、第52週(2018年12月24日から30日)の全国の患者報告数は2168人。定点報告数(1医療機関当たりの平均患者報告数)は0.7人でした。過去10年で最も流行した2015年の第52週の定点報告数は0.83人ですから、いかに流行っているかが分かるのではないでしょうか。
都道府県別にみてみると、東京都(382人)が最も患者数が多く、ついで、宮城県(269人)、神奈川県(219人)と続いています。東京都や宮城県、新潟県や山形県などでは警報レベルを超え、自治体ごとに注意喚起がなされています。