45歳になったイチローが1月24日にマリナーズとマイナー契約を結んだと伝えられた。報道によると、メジャー19年目に向けた春季キャンプには招待選手として参加。ケガなどの不測の事態がない限り、3月20、21日に東京ドームで行われる開幕シリーズでの復帰が確実視されている。
ここまでの流れは、昨年5月3日に電撃的に“会長付特別補佐"への就任が発表された時点から推測通りだった。昨季の残り試合には出ないものの、2019年以降の復帰への可能性は残すという異例の契約。その背景として、日本での今季開幕戦でプレーさせる意図があったのは当然だろう。日本でのシリーズではロースター枠が普段の25人から28人に拡大されるため、イチローをそれほど無理なくチームに組み込むことができるという事情もある。
気になるのはその後のことだ。日本での2試合後にはロースター枠は25人に戻り、だとすれば昨季は打率.205(44打数9安打)に終わった大ベテランが食い込むのは簡単ではあるまい。普通に考えれば、イチローがそこでキャリアの幕引きを行うのが自然な流れ。東京ドームでの2試合が終わったところで引退発表でもすれば、綺麗なシナリオになるに違いない。
ただ──。これまでも我が道を歩んできたイチローが、そんなありきたりなエンディングで満足するとは考え難いのも事実である。言葉は悪いが、“日本でのシリーズの盛り上げに利用される"ようなカムバックを良しとはしないはず。その2戦を足がかりに、イチローは再びロースター定着を目指してくるのではないかと考える在米メディアは少なくない。
マリナーズは今オフに多くの主力選手を放出し、完全な再建体制に突入。27歳の菊池雄星の獲得も数年先を睨んでのものと目され、今季は若手中心のロースターを組むことだろう。普通に考えれば45歳の外野手が入り込む余地はないが、考え方を変えれば、目先の勝利にこだわららない選手起用が可能だともいえる。