冒頭で紹介した福田氏の12月復帰説が話題になったのも、そういった経緯があったからだ。

「臨時国会では当然、福田氏の接待疑惑が野党から追及された。しかし、本人は何の答弁もなし。それが、国会が終わればすぐに復帰となれば、与党内からも怒りの声が出るのは必至。そう言われていた頃、会議は日時も場所も決まっていたのに、突然キャンセルになりました。理由は不明ですが、なくなってよかった」(官邸筋)

 官僚たちが福田氏をそこまで警戒するのは、強引な仕事のやり方に反発が多いためだ。

「福田氏は未来投資会議の民間議員である竹中平蔵氏の懐刀として動いていて、竹中氏の無茶な提案について関係省庁を説得する役割をしていた。だけど、面倒くさがり屋なのか、調整はやりたがらなくて『菅官房長官がやれと言っている』などと言ってゴリ押しするだけだった」(前出の野党議員)

 数ある首相の私的諮問機関のなかでも未来投資会議の影響力は段違いだ。会議で出された答申は、安倍政権の経済政策に直結する。しかも、会議は少数精鋭で、閣僚以外の民間人は7人だけ。中西宏明経団連会長や五神真東大総長など名だたる人物たちと肩を並べて、竹中氏は安倍政権の経済ブレーンとしてアベノミクスを牽引している。

 だが、首相の私的諮問機関に所属する一民間人が、日本の経済政策に強い影響力を持つことについては、問題視する声も多い。特に批判されるのが、会議の答申が「官邸の方針」となり国民に"押し付けられる"ことだ。水道法改正案でも野党は「審議が不十分だ」と反発するなか、12月に強行採決されて成立した。

 自民党でも、未来投資会議の方針をひっくり返すことは容易ではない。特に農業や漁業、林業に関する改革案は一方的で、ある自民党の農林議員は「政治家でもないたんなる一民間人の竹中氏が、なんでこんなに影響力を持っているのか」と不満を隠さない。

 竹中氏に関しては、肩書きについての批判もある。野党幹部はこう話す。

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