1969年に放送開始された「ハクション大魔王」が、2019年に50周年を迎える。子どものころにテレビで見たメタボ腹のドジな魔人を鮮明に覚えているアラフィフの人も多いはず。そんな愛すべきキャラクターの誕生秘話や原作者の故・吉田竜夫氏が作品に込めた思い、そして50周年を機に新しい家族が加わった「ハクション大魔王」の今後について、タツノコプロの桑原勇蔵社長に話を聞いた。
【想定していた初期のハクション大魔王は、こんなにムキムキだった!?】
* * *
―「ハクション大魔王」(※)50周年、おめでとうございます。
桑原 ありがとうございます。「ハクション大魔王」が世に出てから長く応援し続けてくださっているファンの皆さまに感謝申し上げます。50周年を迎えるにあたって、そうしたオールドファンの方々だけでなく、最近「ハクション大魔王」を好きになってくれた方々にも楽しんでいただけるようなさまざまな試みを検討しています。
―さまざまな試みとは?
桑原 10月にハクション大魔王とアクビちゃんが「はくしょん大魔王」と「あくびちゃん」としてYouTuberデビューをしましたが、そこに3人目が参加することになりました。くしゃみをすると登場するはくしょん大魔王、あくびをすると登場するあくびちゃんに続く3人目のキャラクターで、おならをすると登場する「ぷぅーたくん」です。弊社の創業者である吉田竜夫の長女でイラストレーターの吉田すずかも気に入ってくれて、キャラクターを描き起こしてくれました。そのときは、まだ非公認のキャラクターでしたが(笑)。
―くしゃみ、あくびの次はおならですか!?
桑原 はい(笑)。50年前の作品をそのまま現代に持ってきては受け入れられない可能性もあるので、新しい起爆剤を探していたんです。
―デビューのプラットフォームにYouTubeを選んだのはなぜでしょう?
桑原 YouTubeに限らず、その他のSNS、テレビアニメ、劇場版アニメ、実写作品まで、「なんでもあり」をベースにすべてのプラットフォームに露出していく予定です。「現代にハクション大魔王をよみがえらせる」というのが基本コンセプトですので、若い世代を中心に人気を集めるYouTubeは絶対に外せないと考えました。
―YouTubeでは、ボクシングで闘ったり日本刀を振り回したりするなど、まさに「なんでもあり」の内容ですね。
桑原 我々としては、それぞれのプラットフォームの中で全力を尽くしたいと思っていますので、YouTubeの世界に入り込むのであれば、その世界で表現できることはすべてやるくらいの気持ちでいます。