田村耕太郎さん
田村耕太郎さん

人生一度は、戦わなければならないときがある?
人生一度は、戦わなければならないときがある?

「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークワンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、65万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。

 日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「アホと戦わないことは本当にいいのか?」について。

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【相談】田村さん、本は読んでませんが質問させていただきます。読んでない理由はタイトルに共感できないからです。「アホと戦わないこと」が本当にいいのでしょうか? それは逃げることばかりじゃないのですか? アホを放ったらかしにすることは社会にとってよくないことでないですか? 自分さえよければいいということでは世の中はよくなりませんよ。アホは皆でやっつけるべきではないでしょうか?

■アホを成敗するスキルはあるか?

 お気持ちはよくわかります。みんなでアホと戦って成敗出来て、世の中がよくなるならそれは素晴らしいことです。

 それは「アホを成敗すること」を人生の目的として見出した人が、アホを成敗できる力を身に着けていたら可能かもしれません。実はそれは私の夢でもあります。

 私が一番好きな映画は「イコライザー(Equalizer)」というハリウッド映画です。それは元米軍特殊部隊出身の猛者が、実社会の中で、アホをそのスキルで成敗していくもので、ストーリーや成敗のスキルにリアリティがあって、見ていてスカッとしますし、ああいう「真面目に生きる弱者をいじめる悪を成敗する」行動は理想としたいと思います。

 この映画の第一作目の冒頭にマーク・トウェインの名言が出てきます。「人生には最も大切な日が二つある。一つは自分が生まれた日。もう一つは自分が何のために生まれてきたか見出した日である」というものです。この主人公は米軍特殊部隊のエリート隊員として派遣先でダーティな任務もこなしてきた想定で、悩み苦しんだあげくに、自分の人生を「弱者をいじめるアホを成敗する」ことに見出したという設定です。そして無敵の戦闘能力と頭脳を持っている主人公によるハッピーエンドの成敗ストーリーなので、胸のすく勝ち方を展開します。

 私は何度もこの映画を見ています。主人公の生き方に純粋にあこがれ少しでもマネしたいと思っています。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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田村さんが「それでも一度アホと戦え」という理由