■日本人選手が多数プレーするドイツやベルギーでは……

 ドイツでは2006-07シーズンから外国人選手枠を撤廃する代わりにドイツ人枠(現在は12人)を設定し、さらに国籍を問わず各クラブで育成された選手(現在は4人)との契約を義務付けるホームグロウン制度を併用することで、ドイツ人選手を守る対策を取っている。ただし、ドイツ人枠はあくまで契約上のルールなので、試合に出る主力はほぼ外国人というクラブも存在する。

 隣国のオーストリアは外国人選手枠がない代わりにオーストリア人選手の起用実績に応じて、テレビ放映の傾斜配分金がより多く入る仕組みがある。また、多くの日本人選手が在籍するベルギーでは、外国人選手枠がない代わりにベンチを含めた6人以上のベルギー国内での育成選手(国籍は問わない)が含まれている必要がある。

 こうした傾向を考えてもJリーグの外国人選手枠の拡大は時代の流れに沿うものではあるが、現状AFC(アジア・サッカー連盟)はACL(アジア・チャンピオンズリーグ)の外国人選手枠である外国人3人+アジア1人という、いわゆる「3+1」制度を維持しており、ACLに参加するクラブは大会での使い分けも探りながら外国人選手の獲得プランを立てていく必要がありそうだ。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の“天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。