この記事の写真をすべて見る
 11月15日(木)は、毎年11月第3木曜日と定められている「ボジョレー・ヌーボー」の解禁日。最近はSNSをのぞくと、「ボジョパ」(ボジョレー・ヌーボーを開けるためのパーティー)を楽しむ人も増えているようだ。

【ワインと食べたいチーズに関する基礎知識はこちら】

 そもそも、「ボジョレー・ヌーボー」とはどのようなワインなのだろうか。『マンガで教養 やさしいワイン』監修の瀬川あずささんに聞いてみた。

「“ボジョレー”とは、フランス・パリ東南に位置する、ブルゴーニュ地方南部ボジョレー地区のこと。そして“ヌーボー”とは、フランス語で“新しい”という意味。ボジョレー・ヌーボーとは、ボジョレー地区で、その年に収穫したぶどうからつくられる新酒を指します。使われるぶどうの品種は「ガメイ」限定。その年最初に飲めるフランスワインであり、最も熟成期間が短く、フレッシュでフルーティ、軽やかな味わいが魅力の赤です」

 飲む時は、フレッシュ感を楽しむため、軽く冷やして飲むのがいい。また、年内などを目安とし、なるべく新鮮なうちに飲み切ることがおすすめなんだとか。

「日本は、世界の輸入量の半分を占めるほど、ボジョレー・ヌーボーが好きな国です。その理由は、鰹などの初物を歓迎する日本人の気質に、その年初めてのワインを楽しむというヌーボーの文化がぴったり合ったからではないでしょうか。また、日付変更線の関係で、フランスよりも早く解禁日が訪れ、本場より先にヌーボーが飲めるという事実も、盛り上がりますよね」

 ちなみに、以前のボジョレーには解禁日が設けられていなかったため、より早く発売されたものに人気が集中。出荷時期を早めるために、未成熟なぶどうの使用などが横行し、ボジョレー自体の品質低下を招いた。そのため、解禁日を設けるようになったそう。

「ヌーボーは、その年のぶどうの品質を反映するもの。ボジョレー・ヌーボーがおいしい年は、その年のフランスワイン全体もおいしい可能性が高いんです。ちなみに2018年は、天候にも恵まれ、ぶどうも秀逸な出来が予想されています。グレート・ヴィンテージ(ぶどうの生育状態がよく、とても優れている年)となる可能性も高そう。ヌーボーを飲んで、今年のワインの出来を予測してみるのも、面白いですよ」

瀬川あずささん
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。株式会社食レコ代表取締役。ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」新宿校主幹講師。ワインは生活を豊かにしてくれるエッセンスととらえ、ワインイベントを主催するなど、その魅力と楽しみを伝えるために活動している。