累計18万部のベストセラー小説「乱反射」のドラマ放映を記念し、制作発表記者会見が9月11日、東京・六本木のグランドハイアット東京で行われた。会見には、主演を務めた妻夫木聡さん、井上真央さん、原作者の貫井徳郎さんらが登壇。物語や登場人物に対する心境や撮影中のエピソードなどを語った。
* * *
「乱反射」は、「ある悲劇」によって、幼い息子の命を奪われてしまった夫婦の苦悩を描いた物語。
亡くなった子供の父親で、事件の真相を追う新聞記者の加山聡を演じた妻夫木さんは、「自問自答しながら過ごす毎日だった」と撮影中の心境を語る。
「貫井さんの作品は、命や罪など、普遍的で、人としてどうあるべきかを問われる物語が多い。今回の撮影も、一日一日が辛い気持ちで、それだけに時間の経過を実感しながら過ごした日々でした」
また、聡の妻の光恵を演じた井上さんは、「愛する我が子を失った母親をどう演じればいいのか、撮影前は悩みました。でも、演技をする中で、妻夫木さんに、悲しみ、苦しみ、喜び、色んな感情のスイッチを押してもらったような気がします」と語った。
意外にも、今作が初共演となる二人。妻夫木さんは、井上さんを「母性が豊かな人。意識してコミュニケーションをとらなくても大丈夫だと思えるくらい、最初から心を開いてくれた」と絶賛。一方、井上さんも「自然体で、気負わずに夫婦を演じられた」と振り返りつつ、「最初はもっとストイックで、撮影前に携帯とかいじってたら怒られるかと思った」と妻夫木さんに抱いていたイメージを告白。妻夫木さんはとっさに「風評被害です(笑)」と否定していた。
また、原作者の貫井さんは、撮影現場を見学に訪れたときの話を披露。「不幸を表現するのは、ある程度技術でできると思うが、幸せな空気を表現するのはセンスが必要だと思います。二人の共演シーンを見たとき、夫婦の間にある幸せな雰囲気がぱっと伝わってきて、すごいなと感心しました」と、二人の息の合った演技を讃えた。