駿台甲府の左腕・荘司宏太 (c)朝日新聞社
駿台甲府の左腕・荘司宏太 (c)朝日新聞社
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 10月25日に行われるプロ野球ドラフト会議。既に多くの有力候補の進路が連日のように報道されており、いよいよ今年も本番が近づいてきた印象を受ける。アマチュア野球の世界も情報化が進み、高校野球連盟、大学野球連盟でプロ志望届を提出した選手の一覧が公表されていることもあって昔のようなあっと驚く“隠し玉”の指名はめっきり少なくなっているが、それでも無名の逸材はまだまだ隠れている。そこで今回はそんな全国的には知名度の低い、隠れた有力候補を紹介する。まずは投手編だ。

 今年はどのカテゴリーも好投手が揃っているが、左投手の候補は少ない印象を受ける。関東の高校生では矢澤宏太(藤嶺藤沢)、垣越建伸(山梨学院)などの名前が挙がっているが、彼らと並んで面白い存在と言えるのが荘司宏太(駿台甲府)だ。身長は170cmと小柄だが真上から投げ下ろすことができており、ボールの角度は申し分ない。たくましい下半身を生かしたフォームは躍動感があり、スピードもコンスタントに140キロ台をマークする。高校生サウスポーにしてはばらつきも少なく、しっかり腕を振って変化球を投げられるのも長所だ。うまく成長すれば松井裕樹(楽天)のようなリリーフタイプのサウスポーとして大成する可能性もあるだろう。

 チームとして力がなくても好投手が出現するというのが高校生ではしばしばある話だが、そのケースに当てはまるのが伊藤龍之介(矢板)と水野喬日(湖西)の二人だ。伊藤は190cm近い長身だがフォームのバランスが良く、力みなく楽に腕を振れるのが長所。スピードは140キロ前後だがボールに角度があり、低めに集められる制球力も持ち合わせている。夏の栃木大会では2試合に登板してわずか1失点と好投を見せたが、味方の援護がなく2回戦で敗れた。体格的なスケールがあり、フォームに悪い癖がないだけにしっかり鍛えればまだまだスピードアップする可能性は高い。水野は静岡県内では評判の右腕で、この夏は初戦で伝統校の浜松商を3失点に抑えて見事完投勝利をあげた。力んでバランスを崩すことも多いが、下半身に強さと粘りがあるのが魅力。打者に向かっていく強気な姿勢もプロ向きといえる。

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逸材は社会人、独立リーグにも!