高校時代の偏差値は35。そこから関西学院大学法学部に現役合格。学生時代に司法書士試験、卒業後は1年4カ月という短期間で公認会計士試験に突破。現在、司法書士として活躍する碓井孝介さんを変えたのは「暗記」だった……。

 碓井さんが高校時代に一念発起して編み出した、暗記を中心とした独自の勉強法を始め、あらゆる試験に合格する秘訣を詰め込んだ自著『試験は暗記が9割』(朝日新聞出版)でも紹介した、手の指を使って流れ・段階のある情報をスムーズに覚える「データベース記憶術」をお伝えします。

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「A社とB社が合併予定です、手続きを教えてください」

 会計事務所で仕事をしていると、こんな問い合わせがよくありました。

 会社の合併(会社同士が結びつき、一つの会社になること)については会社法の条文をくまなく見ればわかりますが、ざっくりとした流れぐらいはすらすら答えたいところです。

 大まかな流れとしては、「合併契約を締結した後に、会社のオーナーである株主が株主総会で承認して、合併に反対する債権者を守るための手続きをとり、合併の効力発生日をむかえ、最後に登記申請(国に書類を届け出ること)をして終わり」となります。

 では、このような情報の「流れ」を暗記するとき、どう覚えたらいいのでしょうか。ずばり、こう覚えてください。

1.親指で、両社の社長が合併契約書に拇印を押す
2.人差し指を突き立てて、株主総会で賛成を募る
3.中指を突き立てて怒っているのは、合併に反対の債権者
4.薬指に、合併成立の証として両社長が結婚指輪をする
5.小指を立てているナルシストの司法書士(登記をする専門家)に、登記の依頼をする

 これは、「データベース記憶術」という暗記法です。「データベース記憶術」は、ある情報をデータベースとして、覚えたい情報をそのデータベースに結びつけていくという方法です。

 ここでは、情報を結びつけるデータベースを「指」として、覚えたい情報を「親指、人差し指、中指、薬指、小指」という順に結びつけていきました。

 データベース記憶術について、似た覚え方を聞いたことがある人もいるでしょう。場所や道順に情報を結びつけて暗記する方法です。似た覚え方を聞いたことがある理由は、この暗記法のルーツは古代ギリシャにあるといわれるくらい、暗記法としては定番だからです。

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定番の暗記法をわざわざ紹介する理由とは?