ゲームの初期画面。金髪に特攻服、部屋の中でバイクを乗り回す息子を構成させるのが親(ユーザー)の仕事だ(画像:ミルク株式会社提供)
ゲームの初期画面。金髪に特攻服、部屋の中でバイクを乗り回す息子を構成させるのが親(ユーザー)の仕事だ(画像:ミルク株式会社提供)
部屋の中にあるごみ(?)を次々と回収していこう(画像:ミルク株式会社提供)
部屋の中にあるごみ(?)を次々と回収していこう(画像:ミルク株式会社提供)

 金髪のリーゼント頭で「思考停止」と書かれた特攻服に身を包み、部屋の中でバイクを乗り回す、破天荒な少年。「近よるとはねんぞー!」「ガソリン買ってこいやー!」などと、親に向かって数々の暴言を口にする。果たしてこの「不良息子」が更生することはできるのか。

 こんな深刻な状況が現実になったら、そうとうへこむ。そう「こんな子に育てた覚えはない」と、嘆き悲しむのではないだろうか。

 そんな親の心子知らずをシミュレートできるのが、スマートフォン向け放置型育成ゲーム『こんな息子に育てた覚えはない』だ。2014年5月にAndroid版、6月にiOS版がリリースされ、開発したミルク株式会社(東京都豊島区)によると、これまでに約3万ダウンロードを記録したという注目作だ。利用料金は無料(アプリ内の課金あり)。

『こんな息子に育てた覚えはない』は、「不良息子」を育て方次第で10種類ある職業のいずれかに就職させることを目的としたマルチエンディングゲーム。不良息子の部屋に自動的に発生する、お酒の空き瓶やたばこの空き箱、カエルの置物?といった「ヤンキーご用達のダメなアイテム」を没収していくだけと基本操作は至ってシンプルだ。これらのアイテムを没収するたびに経験値とコインが得られ、経験値が一定数たまるとレベルアップとなり、息子の見た目がまじめになっていく。そして、息子の潜在能力を伸ばすのも、親の大切な役目だ。

 貯まったコインを使って、今度は息子の能力(「かしこさ」「こせい」「たいりょく」など)を伸ばしていくことになる。例えば、バーベルを買い与えれば体力が、参考書なら賢さがアップしていくという寸法だ。

 さらに、息子の部屋に遊びに来る友達に目を光らせ、良い影響を与える友達なら歓迎し、「悪い」友達は追い出すなどして息子の成長を促すこともできる。

 また、レベルが上がると、バイクを降りる、学校に通い出すなど、息子に更生への兆しが見え始めていく。

 操作はシンプルだが、育成要素がちりばめられていて、結構奥が深そうだ。Google Playのレビューでは、「地味におもしろい」「(息子が)どんどんデレてくるところが最高に可愛い」など、このゲームにハマっている人の書き込みもみうけられた。

 企画・開発を手掛けた谷社長は、少年時代は特に不良ではなかったため、不良息子ならではのセリフや部屋にありそうなものを調べるのに苦心したそうだ。

 そして、谷社長は「赤ちゃんからスタートするバージョンの作成も検討している」と、今後の作品に対する意欲も語った。

 エンディングを迎えて立派に成長した息子の姿を見るにつけ「あのダメ息子がこんなに立派になって……」などと目頭が熱くなったとしたら、不良だったかどうかは別として、自分を育ててくれた親の気持ちが少しはわかるようになったのかも。子育て真っ最中の人もぜひプレーしてみてはいかがだろうか!?