6割近くの企業が「監視している」と回答 あなたのパソコンも見られている

AERA
 街や店舗に防犯カメラがあふれ、スマホにはGPS機能。2013年には、警察が捜査対象者の車に令状なしでGPSを装着、監視するという事件も起こった。防犯のためとはいえ、日本は“監視”社会になりつつある。

 一方で“監視”は画像だけに限らない。例えば社内パソコンの履歴も筒抜けだ。労務行政研究所(東京都)が6月に実施した、「IT端末の業務上使用等に関する実態アンケート」によれば、57.7%もの企業が会社支給機器を「モニタリング(監視)している」と回答した。

 ソフトウェア会社のエムオーテックス(本社・大阪市)が開発した、情報漏洩対策ソフト「ランスコープ」シリーズ。パソコン操作を監視することで、社外秘のデータを持ち出したり外部に送信したり、権限のない社員が機密データを閲覧したりするのをモニタリングして防ぐ。06年の発売以来、なんと国内1万社以上が導入しているという。

 背景を同社経営企画本部長の中本琢也さんはこう説明する。

「何か問題が起きた場合の後追い、導入していることでの抑止効果、そして現状把握。パソコンからの情報漏洩が増えている中、導入する側の抵抗感も昔と比べてかなり減っています」

 とはいえ、パソコンを監視されることに不安感を抱く人は少なくない。11月下旬、本誌はアエラネットで「監視社会アンケート」を実施した。会社の貸与パソコンに関する質問では64人から回答があり、うち約2割に当たる14人がメール等を監視されたことで「プライバシーの侵害に当たるケースがあった」と答えた。例えばこんな感じだ。

「常に監視されコントロールされているという精神的プレッシャーがかかる」(41歳、会社員男性)

 先の、警察からGPSを装着された男性の弁護を担当した亀石倫子(みちこ)弁護士も、国内の状況についてこう懸念する。

「今後、科学技術がさらに進歩し、GPS以外にも私たちが想定していない新たな技術が次々と開発されていく。警察は犯罪捜査に役に立つものが出てくると、どんなにプライバシーを侵害する恐れがあろうとまず任意捜査と称し、つまり令状を取らずに捜査を行います。監視はこれからどんどん行われるようになる。人権とのバランスを取る仕組みが必要です」

 監視社会に警鐘を鳴らすジャーナリストの斎藤貴男さんは、日本人は将来「監視の海」にのみ込まれていくとみる。

「監視カメラや顔認証、GPSなど、一見バラバラに見えていた監視ツールが連結され、思想統制されていく危険性がある(編集部・野村昌二)

※AERA 2017年12月11日号より抜粋
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