■詰め込み教育は「子どもらしさ」を奪う?
小学校受験といえばペーパー対策。「毎日ペーパーを50枚こなさないと合格できない」といった噂もあるが、小学校受験の変遷を48年間、つぶさに現場で見てきた久野さんは、そうした噂を一蹴する。
「限られた時間で30~40枚のペーパー試験を課すような入試がメインだった時代もありましたが、子どもたちに負担を強いていたこともあり、今は問題の質・量ともに変化しています」
最近の入試では「多くて10枚、平均8枚程度」であり、ペーパーを使わない学校も増えているという。問題内容も変わった。
「かつてのパターン化された知能テストのようなものから、自分で考え、作業し、答えを導く問題になっています。生活や遊びのなかで、実物を使って試行錯誤し、思考力を伸ばすことが大事です」(久野さん)
久野泰可(くの・やすよし)
幼児教室「こぐま会」代表。幼児期に大切な「思考力」を育てるため実践教育を追求し、独自カリキュラム「KUNO メソッド」 を確立。著書に『「考える力」を伸ばす AI時代に活きる幼児教育』(集英社新書)ほか多数。
野倉 学(のくら・まなぶ)
バレクセル代表。リクルートを退社後、独立。専門サイト「お受験じょうほう」(https://www.ojuken.jp/)で小学校受験の実態や最新情報を発信。データを基に受験家庭や、私立小学校へアドバイスも行う。
二宮未央(にのみや・みお)
コラムニスト。小中・専門学校保育科と、聖心女子学院の一貫教育を受ける。卒業後は幼稚園教諭を経て結婚。著書『小学校受験バイブル 賢い子育てをするために』(宮田紀子監修、あさ出版)に、自身の子どもの小学校受験の体験をまとめた。
(文/澤田聡子)
※『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』より